20.あの世における人種意識

あの世からの通信ではっきり分かることは、人は死後も、基本的には生前と同じ性格を持ったままだということである。

「人が未知の国へ赴くとき、何らかの違和感なくして行くことはできません」とオスカー・ワイルドは言った。「こちらにきて特に興味深く思うことは、ここの人々は地上時代と全く同じであるということです」

人種偏見や皮膚の色に対する差別意識も、しばらくは残ったままである。

ジョージ・ウィルモット(かつての貧乏な商人)は、ガイドと一緒に道を歩いて行った。まわりの人々は家の外に出てきて彼を歓迎してくれたが、そのときの様子を彼は次のように述べている。

「時々、彼らは私に手を振ったり声をかけたりしてくれました。彼らは全員白人のように見えました。有色人の姿は見かけませんでした。私は、もしここが彼(ガイド)の言う天国なら、白人の天国に違いない、と思いました。そして私は有色人について考え始めました。彼らのことはよく分かりませんが、彼らはみんな正常な人間ばかりで、特別おかしなところはないように思いました。しかし、そこには白人以外には誰もいませんでした。彼(ガイド)は私の心の中を読み取って言いました」

「こちらには有色人もいます。あらゆる人種・民族の人々がいます。人間は気の合った人と一緒に暮らしたいと思いますし、自分に一番合った環境の中で生活したいと思うのが普通です。とは言っても、人々の中には小さな家でひっそりと生活するのが好きな人間もいますし、そういう人はそこで住むのが本当に幸せなのです。そして自分に合った生活をするようになります。

有色人も白人同様、地上時代の生活によってその内面性をつくり上げており、白人の中にいることは喜びではないのです。こちらにはあらゆる民族・国民が存在しています。彼らは自分たちにとって最もふさわしい共同体と生活条件のもとで生活しているのであり、その中でしばらくは大きな安らぎを感じるのです。

しかし、そうした彼らも徐々に自分の考え方を変え始めます。白人であれ有色人であれ、すべての人種が一つとなる社会が善いことに気づき、一緒に生活するようになります」

大切なことは、あなた自身の内容

ジョン・ブラウンは、高い界層世界について述べている。

「こちらでは“死”は人間にとって飛躍の時と考えています。人が地上にいたとき何者であったのか、どんな身分であったのかということは、たいした問題ではないことが分かるようになります。大切なことは、あなた自身の内容がどうであるのか、ということです。あなた自身が真の価値を持っているか、真の評価を受けるに値する人間であるかどうかが重要なことなのです。

私はこちらへきて、地上時代に身分や地位が高かったために世間から偉いと言われてきた多くの人々に会いました。しかし彼らの中のある者は、とても冷酷で貧しい人々への同情心も理解もありませんでした。彼らはこれまで苦しみの体験をしたことがなかったのです。そうした人たちはこちらで、本当に大切なものが何であるのかを学ばなければなりません。それは彼らが、自分の地位・身分のために知ることができなかったものです。

貧乏人が真理を知ることは、金持ちが真理を知るよりもずっと簡単なのです。金持ちが天国に入ることより、ラクダが針の穴を通る方がずっとたやすいのです」

アルフレッド・ヒギンスは言った。

「多くの人が、地上サイドからのみ物事を考えています。そして人間は死ねば直ちに違う人間になるかのように考えています。しかし人間は死ぬ前も死んだ後も同じなのです。ただ死後は、少し賢く、少し分別が持てるようになり、理解力が増し、忍耐力が増す、という程度です(忍耐力は“かなり増す”と言っておきましょう)。

こちらには地上で長年にわたって考えられてきた偏狭で古臭い愚かな教えは存在しません。そうした間違った教えは“神の子”である人間を救うことにはなりません。むしろ人間を神から遠ざけてしまうのです。すべての神の子は、等しく高い心境で、霊的に精神的に生きていくチャンスが与えられているのです」

エレン・テリーは付け加えている。

「地上からこちらの世界にくるのを恐れてはなりません。あなたの入る世界がどのような状態の世界であるにせよ、またその世界がどれほど低い世界であるにせよ、それはあなたの地上人生の結果なのです。あなたの他界時の様子や魂の成長状況・人間性の未熟さの程度に応じて、ふさわしい世界へと赴くようになるのです。そこは光あふれる世界と比べたとき、いくぶん暗く、寂しい所かもしれません。しかしそこでは何をしようが自由です。また進歩しようがしまいが、すべて本人次第なのです。

もちろんもっと低い界層世界もあります。そこには未発達で未熟な者たちがいます。とは言っても、そこはこれまで地上で言われてきたような地獄ではありません。そのような地獄は存在しません。それは人間が勝手につくり出してきた考えにすぎません。

こちらでは、そこに住む人によって環境が創られますが、本人の努力によって暗闇から上昇するにつれ、その環境自体も変化するようになります。人間はしばしば自分自身で創り出した暗闇の中で長い時を過ごすことがあります。

しかし本人が永遠の生命に対する希望を持ち始め、上昇するための努力を始めると、直ちに救いの手が差し伸べられ道が示されるようになります。いずれにせよ、すべての人々に道が示されるようになります」

ここで述べられた“救いの霊”によって示される道とは、いったい何のことだろうか? それはどこへ向けての道なのだろうか?

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