4.死の自覚
――もしかしたら自分は死んだのだろうか?
“死ぬ”ということは、いったいどのようなことだろうか? 地上にいる人間にとって、死は最も
しかし“死”は、果たしてそんなに
あの世からのメッセージは、われわれ地上人の考え方とは大きく異なっている。彼らは、死は恐れるようなものではなく、単なる一つの存在状態(場所)から他の状態(場所)への自然の移行にすぎないと言うのである。
ウッズとグリーンにメッセージを送ってきたあの世の住人の中で、死が恐怖の瞬間であったと証言する者は誰ひとりとしていない。ただし大部分の者たちは、自分がもう地上には生きていないということが分かるまでに、しばらく時間がかかっている。死の直後、彼らは環境の変化にほとんど気づかない。少しの間、夢を見ているのと同じ状態が続くのである。そしてほとんどの者は頭が混乱する。なぜ地上に残してきた人々(家族や知人)が悲しみ慌てふためくだけで、自分が別の世界で依然として幸せに生きていることに気づいてくれないのかと悩むのである。
あの世にいる霊が、自分の考えをエクトプラズムでできた“ボイスボックス”を通して地上の言葉で語るコツを覚えると、熱心にメッセージを送ろうとするようになる。それは長旅から帰ったばかりの旅行者が、旅の印象を知人に熱心に語りたくなるのと同じである。
ベッティー・グリーンは、交霊会で初めての質問役(審神者[さにわ])を務めることになった。彼女は前もって用意した質問内容を霊に投げかけることによって、われわれ地上の人間の誰もが関心を持っている問題の答えを引き出そうとした。
「あなたが死んだことに気がついたときの様子について話してください」――これは一九五九年四月十一日、「ジョージ・ホプキンス」と名乗るかつてのスセックス地方の農夫の霊に、彼女がした質問である。
最初、ホプキンスは彼女の質問に答えず、宗教に対する彼の考えをとうとうと語り続けた。グリーンは彼がしゃべるにまかせ、話がやむのを待った。そしてやおら、
「ホプキンスさん」と切り出した。
「何でしょう?」
「あなたがどのようにして、そちらの世界に行ったかを教えていただけませんか?」今度はピッタリと息が合った。