(3)霊界通信の信憑性

心霊現象に関心を持つ人々は、霊からの声を無条件に“ありがたいもの”として受け入れがちです。しかし霊からのメッセージを、何の疑いもなく信じてよいのでしょうか?霊媒の口から出る言葉を、頭から信用してよいのでしょうか? 霊界通信の内容、すなわち霊界にいる霊から送られてくるメッセージは、すべて真実と言えるのでしょうか?

ここでは霊媒によって伝えられる霊的情報の信憑性について見ていきます。

真実の霊界通信は、全体のわずか五パーセント

近代心霊研究では、霊界通信に対する信憑性が問題とされました。その結果、霊界通信とか霊媒現象と言われているものの中で本当に信用に足るものは“全体のごく一部”――わずか五パーセント程度にすぎない、というような驚くべき結論を出しています。残りの九十五パーセント――つまり大部分の霊界通信は信用できないと言うのです。

文字どおり五パーセントだけが真実の霊界通信であるかどうかは別として、それほどまでに本物は少なく、大半が“ニセモノ”であり価値のないものであるということなのです。

ニセ霊能者の意図的な詐欺さぎ

では、どうして大半の霊界通信は信用できないのでしょうか。ニセモノ、あるいは全く価値がない通信であるという理由は、いったいどこにあるのでしょうか。

真っ先に挙げられるのが“ニセ霊能者”によるニセの霊界通信です。実際には霊のメッセージを受け取っていないのに、一般の人々がそれを判断できないのをいいことに、ニセ霊能者が口からでまかせを語るのです。この種の“ニセ霊界通信”は明らかに詐欺・ペテンと言うべきものですが、これは現代社会の至るところに存在します。テレビに出演して、あの世からのメッセージを伝えるという霊能者は、ほとんどがこの手のニセ霊能者です。

他界して間もない“新米霊しんまいれい”からの通信

このようなニセ霊界通信とは違いますが、通信そのものの内容があまりにもお粗末すぎてスピリチュアリズム的な価値がない、というものがあります。通信それ自体は確かに他界した親族・身内からのものなのですが、死後あまり時間が経っていないうちに、霊界の様子をほとんど理解できないまま通信を送ってくるケースです。

そうした霊界通信が、時には死別の悲しみに打ちひしがれている遺族の心を慰めることもありますが、それ以上の意味は全くありません。それどころか、しばしば間違った霊的知識や情報を送ってくるため、地上人を混乱させ惑わせることになってしまいます。

霊媒の潜在意識内の観念

こうしたものとは別に、いかにも霊界通信のようでありながら、実際には霊界通信ではない紛らわしい現象があります。それが霊媒の「潜在意識の吐き出し」という現象です。外見上、霊媒はトランス状態で明らかに通常とは別人格の状態にありますが、そこで語られる内容は霊界の通信霊からのものではなく、霊媒の“潜在意識”の中にあった霊媒自身の考えにすぎないのです。霊媒が日頃から何とかして自分の信念を他人に伝えたいという気持ちを持っていたり、特定の宗教の教義を固く信じ込んでいるような場合、それが潜在意識の中に深く根を下ろして、正常な霊界通信の通路を遮断してしまうことになります。

そのようなとき通信霊は、通信経路を確保するために、霊媒の潜在意識内に巣くっている考えをいったん外部に吐き出させます。霊媒の潜在意識内の固執観念を吐き出させて、通信のための道筋をつくるのです。これが地上の人間には、霊媒の口から通信霊のメッセージが語られたかのように受け取られてしまいます。言うまでもなくそのメッセージは通信霊によるものではなく、初めから霊媒の潜在意識の中にあったものにすぎません。

深いトランス状態下(潜在意識が支配されている状態)では普通、霊媒自身の意識はないため、本人にはそれが自分から出た言葉なのか、霊からの言葉なのか区別がつきません。その結果、霊媒自身も、自分の潜在意識の中身にすぎないものを、てっきり霊からの通信と錯覚してしまうようになるのです。世間一般で霊界通信(チャネリング)と言われているものの中には、この種のケースが多く見られます。

低級霊のからかい・イタズラ

地上の人間にコンタクトを求めてくる霊は、その大半が地上的・物質的波動をいつまでも拭い去れない“低級霊”か、他界して間もない“新米霊”です。そうした霊たちは、地上的要素が多い分だけ容易に地上の霊媒とコンタクトすることができるのです。ごく普通の善良な霊なら、いったん他界してしまえば、霊界のあまりの素晴らしさに、わざわざ重苦しい地上に戻りたいなどという気持ちは消え失せてしまうのですが、低級霊はいつまで経っても地上への執着を断ち切れないのです。

世間一般に見られる霊媒現象の多くが、こうした“低級霊・未熟霊”によるものです。交霊会のほとんどが、低級霊による悪ふざけやイタズラの現場となっています。低級霊は、わざと歴史上の有名人の名前や神の名前をかたって地上人をからかいます。時には自分の地上時代の体験をもとに、もっともらしいドラマをつくり出して、霊媒の潜在意識に流し込みます。すると霊媒は、それを自分の前世や、依頼者の前世だと思い込んでしまうようになります。また霊媒の霊的視界にニセの前世像を映し出し、巧妙にだますようなこともします。

そうした低級霊・未熟霊によって高次の霊的知識や情報がもたらされることは決してありません。

霊界通信の内容の不一致

以上のようなさまざまな理由により、信頼できる霊界通信は、霊媒現象のうちのほんのわずかなものだけ、ということになってしまいます。言うまでもなくこうした一握りの優れた霊界通信は、メッセージを送る側(通信霊)が高級霊であり、同時にそれを受け取る地上側の霊媒も霊性の高い人間であることが絶対的条件となります。

ところがそうした本物の霊界通信の中にも、また新たな別の問題が存在します。それは通信霊によって“通信内容に食い違いがある”ということです。いったいこれはどうしたことでしょうか。通信内容が一致してこそ信用できる霊界通信と言えるのではないか?―このように考えるのが当然です。しかし霊界の実相を知ってみると、通信内容に食い違いが生じるのは、もっともなことであると分かります。

それは一口に“高級霊”といっても、その霊性レベルは一人ひとり異なり、さまざまな霊的成長段階にあるからです。ある高級霊が聖人のレベルにまで達している一方で、別の高級霊は、それとは懸け離れたレベルにあるというようなことが実際に存在するのです。 霊界は、霊的成長レベルこれを「霊格」と言います)の違いによって住み分けがなされ、その結果、無数ともいえる界層が形成されています。そして異なる界層間では、上下の交流はほとんどありません。そのため霊界の住人が知り得る情報は、今自分が住んでいる界層世界と、過去に住んでいたそれ以下の界層世界の内容に限られてしまいます。このような事情があるため、通信霊それぞれの通信内容に食い違いが生じるようになるのです。

私たちが霊からのメッセージに触れるときには、常にこうした霊界側の事情を考慮していなければなりません。

ほんの一握りの超高級霊からの霊界通信

高級霊からの霊界通信はごくわずかなものにすぎませんが、その高級霊の中でもとりわけ霊性の優れた“超高級霊”からの通信ともなると、さらにその数は限定されることになります。超高級霊による霊界通信は、ありとあらゆる条件が整わないかぎり実現しません。当然、それはきわめて稀な出来事となります。何十万という霊界通信の中に、一つあるかないかというような確率となるのです。

しかしスピリチュアリズムでは近代心霊研究を通して、数多くの霊界通信の中からそうした超高級霊による霊界通信をさぐりあて、その中に共通する内容を「霊的事実・霊的真理」として明らかにしてきました。ここにおいてスピリチュアリズムは、心霊研究に霊的真理と霊的知識を加え、より進化したレベルに飛躍することになりました。スピリチュアリズムは「心霊研究」と「霊的真理・霊的知識」の二つを柱として発展していくことになりました。

次に、スピリチュアリズムの歴史上に登場した高級霊による霊界通信を具体的に見ていくことにします。

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