おわりに

スピリチュアリズムの霊的真理は、人類にとっての最高の霊的宝

ひと通りスピリチュアリズムのアウトラインを見てきましたが、どのような感想を持たれたでしょうか。読んでいただいて分かるとおり、スピリチュアリズムは単なる学問や思想ではないということです。それはすべての宗教を一つにまとめ上げるだけの、広大で深遠な「真理の体系」であると同時に、人類が最終的に歩まねばならない「信仰実践の体系」でもあるのです。真の意味で、人類にとっての“最高の霊的宝”と言うべきものです。その膨大なスピリチュアリズムの世界を、できるだけ分かりやすく紹介したつもりですが、どの程度、皆さん方に真意を伝えることができたでしょうか。本書がきっかけとなって、スピリチュアリズムに関心を持つ方が現れるとするなら、入門書としての役割を果たしたことになります。

さて、本書のもう一つの目的は、優れた霊訓を読む前の予備知識を皆さん方に提供することです。スピリチュアリズムの歴史や霊的背景のあらましを知った上で霊訓に触れていただけば、いっそう深く内容を理解することができるようになります。その意味で本書は、霊訓を読む前の“ウォーミングアップ”のための本と言えます。私たちとしては、どこまでも皆さん方に、優れた「霊訓・霊界通信」を読んでいただきたいと思っています。一人でも多くの方が、この本の中で紹介した「霊訓・霊界通信」を読み、それを今後の人生の拠りどころにしてくださることを願っています。優れた霊界通信は、必ずや皆さん方に「魂の革命・人生の大転機」をもたらすことでしょう。

地球上の“悲劇”を解決する道

人類に幸福をもたらす道として、経済的(物質的)方向と、宗教的(精神的)方向があります。地上という物質世界にいるかぎり、それらは共に必要です。経済的だけというのも、反対に精神的だけというのも、間違いです。生きていくための最低限の食事さえ確保できないということは、不幸以外の何ものでもありません。そうした状態では魂の向上など、とうてい期待することはできません。

現在、世界で八億を超える人々が「飢餓」に苦しんでいるという事態は、明らかに異常です。地球レベルでの飢えを引き起こしている原因は、気候や天候にあるのではなく、人間の側にあります。人間の“エゴ”からつくり出された先進諸国の食料戦略によって、発展途上国の人々は、自分の畑でつくった作物を自分で食べられないようになっているのです。世界的規模の飢えの問題は、どこまでも人間のエゴという心の反映なのです。

また「貧困」の問題も飢えと同様、人間の心が最大の原因です。富の不平等分配は、資本主義の最大の欠陥です。貧富の格差の問題、すなわち金持ちと貧乏人の差は、単なる制度の改正によっては解決できません。それはソ連を代表とする二十世紀の社会主義諸国における歴史的大実験の失敗によって証明されています。貧富の極端な格差をどのように是正すべきかについては――「地球人類の生き方・考え方を変えないかぎり、根本的な解決策を見い出すことはできない」ということなのです。それは遠回りの方法のように感じられるかもしれませんし、また非現実的な方法のように思われるかもしれません。しかし根本的な解決法としては、それしかないのです。“スピリチュアリズム”は、まさに霊的真理の普及によって地球人類に「精神革命」を引き起こし、これまで地球上に蔓延してきた“悲劇”を完全に駆逐しようとしているのです。

スピリチュアリズムによる人類救済活動の展開

現代の霊的世界への関心の高まりの背景には、霊界からの計画的な働きかけがあります。「地球人類を悲劇から救い出そう!」という霊界人の熱意が反映しているのです。霊界主導の人類救済活動は、一宗教・一宗派を中心として展開するものではありません。スピリチュアリズムは、徹底して全人類的観点から進められている、人類史上かつて存在したことのないビッグ・プロジェクトなのです。

スピリチュアリズムは、宗教的な組織によらない人類救済活動です。そこでは、これまでのような宗教組織は必要ありません。スピリチュアリズムの人類救済活動は「霊的真理の普及」を中心に進められますが、その霊的真理の普及は、激しい伝道活動やマスメディアを利用した大衆伝道という形でなされるものではありません。それは一人ひとりが霊的真理を受け入れ、その真理を自発的に実践に移すというプロセスを通して達成されていきます。霊的真理を受け入れられる人(霊的準備のできた人・霊的受容性に富んだ人)に真理が手渡され、その人がまた時期のきた人に伝えるという形で、徐々にではあっても確実に進められていくことになります。これまでの宗教では、大衆伝道・大衆扇動が、宣教や組織拡大のための常套手段とされてきましたが、今後の霊的真理の普及においては、そうした方法は全く不要となります。時のきた人から、一人また一人という最も自然で無理のない形で普及していくのです。

スピリチュアリズムの霊的真理の特殊性

霊界からの働きかけは「地球人類を救う」という一点に向けられていますが、それは具体的には「時のきた人に霊的真理が手渡される」という形で実を結ぶことになります。では、その霊的真理とはどのようなものなのでしょうか? これまでの人類には全く知られていなかった革新的な内容なのでしょうか?

結論を言えば、スピリチュアリズムによって示された霊的真理とは、どこまでも霊的事実にすぎません。それはある意味では、きわめて常識的でありふれたものと言えます。しかしスピリチュアリズムの霊界通信を通して送られてきた「霊的真理(霊的事実)」には、他の宗教とは根本的に異なる特殊性があります。優れた霊界通信によって明らかにされた霊的真理は、従来の宗教などによって示されてきた真理(霊的事実)とは、次元において大きく違っているのです。

「高級霊による霊界通信」――すなわちスピリチュアリズムによってもたらされた「霊的真理」は、人類史上における“最高次元の霊的叡智”であると断言することができます。それはスピリチュアリズムの霊的真理が、地上サイド・地上人サイドから出たものではなく、霊界サイド・霊サイドから出たものであるからです。地上人と霊界人では、霊的事実の認識能力において比べものにならないほどの差があります。

仮に地上に大天才・大霊能者・大預言者がいたとしても、彼らは、霊的事実のきわめて限られた一部分を知ることしかできません。物質世界に住み、脳を介して意識活動をする地上人としての限界と制約が常に付きまといます。それに対して霊界人の認識能力は、地上人の何十、何百倍にも及びます。霊界にはそうした能力を持った高級霊が何百億人もいて、しかも何百、何千年にもわたって霊的知識が蓄積されているのです。こうした膨大な霊的知識が“スピリチュアリズム”によって地上に送られてくるのです。たった一人の地上人による悟りとは、全く次元が違うのは明らかです。

霊的真理とは、あくまでも霊的事実にすぎません。しかしそれを認識する背景となると、このように比較することさえできないほどの大きな隔たりがあります。スピリチュアリズムによって示された霊的真理の内容が、人類史上、最高のものであると断言できるのは、こうした理由があるからなのです。実際その内容を見てみると、スケール・深さ・純度・論理性・事実性・実用性――どの点を取っても最高次元にあることが分かります。地上のいかなる優れた思想や宗教の教えも、これに匹敵するものはありません。しかもその真理は、難解で分かりにくいものではなく、ごく普通の理性とそれを受け入れられる霊性を持った者には、誰にでも理解できる素朴でシンプルなものなのです。

スピリチュアリズムの将来

スピリチュアリズムによってもたらされた「霊的真理」は、ここ数百年のうちに世界の隅々にまで行きわたることになるでしょう。そして全人類共通の人生観・世界観になっていくでしょう。もちろんその過程においては、既成宗教や社会からの反発は避けられません。しかし地上には、もはやこの真理普及の勢いを阻止できる勢力は存在しません。

霊的真理の普及は、真っ先に従来の宗教に大きな影響を及ぼすことになります。その際、謙虚にスピリチュアリズムの真理を受け入れようとしない宗教は、時間とともに自然淘汰される道をたどることになります。また霊的真理の影響は宗教分野にとどまらず、社会一般、政治経済の分野にも波及していくようになります。その結果、現在、先進諸国だけが享受している物質的豊かさを、すべての国が等しく受けられるようになっていきます。最低の衣食が満たされることは、地球人類の「霊的成長」のために不可欠な要因だからです。

現代のIT情報革命は、もっと早い時期にスピリチュアリズムの存在を世界中に知らせることになるかもしれません。とは言っても霊的真理の本当の普及・定着は、一人ひとりの人間を介してなされていくものであり、知名度が上がったからといって一気に影響力が拡大するわけではありません。「徐々に、ゆっくりと、確実に」というのが真理普及の原則であって、そこに例外はありません。

日本の使命

今日、日本は経済大国として世界の注目を集め、世界をリードする立場に立つようになっています。しかし今後は、これまでのようなお金やモノだけでは、指導力を発揮できなくなっていきます。これからの国際関係は、共同体意識を優先させ、共に発展していくということを第一に目指さないかぎり、相手にされなくなっていきます。国々が互いに助け合い、共に発展していくという「神の摂理(利他性)」が国際関係の理念となっていくようになります。「利他性」という理念が、単なる理想で終わることのない時代に入っていくのです。

日本はそうした利他的な精神を、世界の国々に先駆けて示す使命を持っています。世界の人々のために、日本国民が喜んで自己犠牲の道を歩む手本を示さなければなりません。こうした意味から、スピリチュアリズムが日本人の中に広く普及し、霊的真理を土台とする純粋な霊的生き方と精神世界が、正しく日本人の中に確立されるようになることを心から願っています。

平成二十年九月

スピリチュアリズム普及会

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