(2)霊界通信のメカニズム
霊界通信の種類
霊媒現象を利用して、霊界から地上に計画的にメッセージを伝えようとするのが「霊界通信」ですが、一口に霊界通信といっても、これにはさまざまな種類があります。通信方法にいろいろな形式が存在し、その形式の違いによって大きく次のように三種類に分類されます。
一つ目の霊界通信は、通信霊が通信文を書いて伝えるという「書記方式」です。これには通信霊が直接地上の書記板に文字を書くという方法(*これを「直接書記」と言います)と、通信霊が地上の霊媒の手を操って通信文を書かせるという二つの方式があります。後者の書記方法は「自動書記」と呼ばれ、スピリチュアリズムの中では最も多く見られるものです。
二つ目の霊界通信は、通信霊が発声を通してメッセージを送るという「談話方式」です。これにも二つの方法があります。その一つがエクトプラズムによってメガホンのような発声器をつくり出し、これを使って霊がメッセージを語るというものです。スピリチュアリズムの初期には、こうした物理現象的要素の強い「直接談話」が多く用いられました。もう一つの談話方法は最もポピュラーなもので、通信霊が地上の霊媒の意識を支配して、霊媒の発声器官(口など)を用いて間接的にメッセージを語るというものです。その際、霊媒はトランス状態にあるのが普通です。そのためこの方法は「入神談話」と呼ばれます。
三つ目の霊界通信は、通信霊が地上の霊媒に向けて直接シンボルやイメージを送り、それを霊媒が解釈(翻訳)するという方式です。地上の霊媒には、霊界からインスピレーションが送られてくるような状況になるため、これを「インスピレーション方式」と言います。
いずれの方法にも一長一短があります。どのような方法を選択するかは、メッセージ伝達の正確さ、メッセージの送りやすさ、霊媒のコントロールのしやすさなどを総合的に考慮したうえで決定されます。最も多く見られる方法は「自動書記」と「入神談話」です。スピリチュアリズムにおける優れた霊界通信のほとんどが、このどちらかの方法でなされています。
霊界通信の複雑さ・難しさ
霊界通信は、霊界と物質界という全く異なる世界をつなぐ連絡手段を通して行われます。そこには当然、想像を絶するような難しさや困難がともないます。地上サイドから霊界通信を見ると、それは簡単にできるものであるかのように考えがちですが、霊界側では、私たち地上人には思いもよらないような複雑な操作が連続して行われています。“奇跡”と言ってもいいような驚異的なプロセスを通して霊界通信は実現しているのです。
霊界通信のメカニズム
自動書記や入神談話方式における霊界通信のメカニズムを説明すると次のようになります。こうした霊界通信では、地上の霊媒は入神状態(トランス状態)に置かれます。“トランス”とは、霊が霊媒の“潜在意識”を支配している状態のことですが、通信霊が霊媒の潜在意識を支配するためには、自分(通信霊)のオーラと霊媒のオーラを融合させることが必要となります。霊側のオーラと地上の霊媒のオーラを融合させることによって、霊媒の潜在意識を支配することができるようになるのです。その際、オーラの融合度(完全か、部分的か)によって、潜在意識の支配の程度が決定されます。
人間の潜在意識にはさまざまな働きがありますが、その一つが日常の行動の自動コントロールです。地上人の日常の行動の多くが、潜在意識をコントロールタワーとして、自動的に営まれるようになっています。食べたり飲んだり歩いたりといった行為ばかりでなく、思考したり話したり書いたりという行為も、その大部分が潜在意識によって営まれています。
通信霊が霊媒の“潜在意識”を支配することによって、潜在意識とつながった種々の肉体機能を支配することができるようになります。いったん霊媒の潜在意識を支配すれば通信霊は、霊媒本人が日常、話したり書いたりするのと同じように、自分の考えを表現できるようになります。霊媒の潜在意識内の記憶層にあるさまざまな単語や文型パターンを用いて、自分の考えを地上の言語で表現(書記・談話)できるようになるのです。
高級霊による霊界通信の、想像を絶する複雑なメカニズムとシステム
以上は、通信霊が霊媒を用いて地上にメッセージを送る一連の仕組みですが、高級霊になればなるほど、その操作には複雑さがともなうようになります。通信霊から霊媒へという伝達プロセスが、単純なものではなくなるからです。高級霊のオーラと地上の霊媒のオーラの質があまりにも違い過ぎるため、その融合が容易にはできなくなるのです。
そのため通信霊(高級霊)は、霊界側に(通信霊と地上の霊媒をつなぐための)もう一人の霊媒を準備しなければならなくなります。他界後それほど時間が経っていない霊を霊界サイドの霊媒に仕立て、「通信霊(高級霊)→霊界の霊媒→地上の霊媒」という三段階のステップを踏んで地上に通信を送ることになります。通信霊は霊界の霊媒を用いて、間接的に地上の霊媒をリモートコントロールするということです。高級霊が地上に通信を送る場合、このようにきわめて複雑でデリケートな操作が必要となります。まさに綱渡り状態の中で通信を進めていくのです。
こうした高級霊の通信(高級霊界通信)では普通、霊界側に数十人の霊による“プロジェクトチーム(霊団)”が組織されます。そしてこれらの霊たちは、それぞれの役割に専心して働くことになります。ある霊は低級霊の侵入を防ぐ役目に、ある霊は霊媒の潜在意識を支配する役目に、またある霊は言葉を操る役目につくといったように、各自に異なる役割が与えられます。そうしたメンバーたちが完全なチームプレーを遂行する中で、初めて一つの通信文が地上に送られることになるのです。
高級霊の霊界通信では、地上の霊媒をより良い道具に育て上げるために、霊媒が母親の胎内に宿った瞬間から、ずっと寄り添うようにして導きをなしていきます。通信霊は、地上の霊媒の成長過程を背後から影のように付き添って見守る中で、霊媒の考え方から癖まですべてをマスターします。通信霊は、ある意味で霊媒の人格の一部になり切るところまで準備をします。こうして初めて高級霊界通信の“専属霊媒”が育てられることになるのです。
霊媒現象における問題点
地上には、高級霊の高いオーラに相応できる霊媒はめったにいません。そのため高級霊が地上に通信を送ろうとしても、ほとんど実現しないことになります。地上の霊媒の大半は霊的に未熟で“低級霊”の暗いオーラと融合しやすくなっています。地上の霊媒を通して届けられる圧倒的多数の通信が低級霊からのもので、人類の霊的成長にとって何の役にも立たないものばかりなのはこのためです。これが霊界通信に関する最大の問題点です。高級霊による本物の霊界通信は、霊媒現象全体の中で、わずか一握りにすぎません。ほとんどの霊界通信は、ニセの霊媒現象であったり、全く価値のない通信なのです。
霊媒現象には、さらに別の大きな問題があります。それが低級霊による「憑依現象」です。高級霊が通信を送る場合、霊媒の潜在意識を一方的に支配するようなことはありません。常に霊媒に対して十分な配慮を払い、慎重に潜在意識の融合化を進めます。霊側が強制的に地上人の潜在意識を支配することはタブーとされています。霊界通信では、通信霊が一方的に霊媒を支配するのではなく、霊媒の了解と協力のもとで霊媒の心身を使わせてもらう、というのが大原則なのです。
ところが“低級霊”は、その大原則を無視し、強制的・一方的に霊媒の潜在意識を支配してしまいます。その結果、地上の霊媒が気違いになったり、二重人格・多重人格性の精神病になってしまうのです。これが「憑依現象」です。霊媒体質者は身体から大量のオーラを放射していますが、そのオーラの質が悪いと、多くの低級霊を引きつけ呼び込んでしまいます。霊媒体質者は、霊能者になる素質があると同時に、容易に低級霊に憑依されやすいという危険と隣り合わせにいるのです。