(1)霊界通信の登場と、霊界通信に対する科学的研究

一歩進んだ心霊現象

スピリチュアリズム初期におけるさまざまな心霊現象の研究は、霊魂説を認めない当時の人々に対し、霊魂の存在を科学的・合理的に明らかにするために行われました。すなわち「霊魂説」の正当性を証明することが、近代心霊研究の目的だったのです。これは人類にとって、きわめて重大な意味を持っています。死に対する恐怖や死別の悲しみを、根本から拭い去ることができるようになるからです。人間は死んでも霊界で生きている、死によって愛する人との関係がなくなるのではないという「霊的事実」を知るだけで、地上人生は一変するようになります。これは地球人類にとって、まさに大きな「精神革命」と言えます。

初期のスピリチュアリズムは物理的心霊現象の科学的研究を通して、これまでいかなる宗教も成し得なかった霊魂の不死と死後の世界の存在を証明しました。それによって死に対する人々の意識を根本から変化させることになりました。しかし心霊研究によってもたらされる意識変革は、そこまでです。

死に関するさらに深い問題、例えば「死んでから先の世界はどのようになっているのか?」「死後の世界と地上世界との関係はどのようになっているのか?」「神は果たして存在するのか?」「死後の世界における魂の救済とはどのようなことなのか?」――こうした内面的な問題、哲学的・思想的なテーマについては、それまでの心霊研究からでは、もはや回答を得ることはできません。そうした問題の答えを知るためには、全く別のタイプの霊媒を通して、別のアプローチをしていかなければなりません。そのために霊界側から用意された心霊現象が「霊界通信」だったのです。霊界通信は、物理的心霊現象に比べて質的に一歩進んだ心霊現象です。

霊界通信とは、あの世にいる霊が、霊媒を通してメッセージを地上人に届けることです。それによって地上人は、これまで地上世界には存在しなかった新しい知識(霊的事実)を知り、より高次の価値ある人生を送ることができるようになります。霊界通信によって霊界からもたらされた「霊的真理・霊的知識」に基づいて、霊的存在にふさわしい生き方を求めることが可能になります。まさにこれこそがスピリチュアリズムが目指してきた一番の目標だったのです。

霊媒現象に対する心霊研究

他界した霊が、地上の霊媒を通して人々に語るという心霊現象霊媒現象とか招霊現象と呼ばれます)は、古来からよく知られてきました。この「霊媒現象」は現代人にとってもかなりポピュラーな心霊現象で、私たちの身近でもしばしば目にすることができます。日本の東北地方のイタコや沖縄のユタといった人々は、こうした霊媒現象の霊媒(ミーディアム)です。

一般的な霊媒現象では、霊能者(霊媒・ミーディアム)が“トランス状態”に入ると同時に、声が変わり人格が変化します。時には霊媒自身が全く知らないような外国語をしゃべり始めることもあります。また他界した人間と地上の遺族以外には知るはずのない事実や秘密が、霊媒を通じて語られることもあります。このような現場に立ち会ってみると、確かに他界した人間が話しているのだと認めざるをえなくなります。初めて霊媒現象を体験した人には、死者との交わりはとても厳粛で思い出に残る出来事となります。

そうした霊媒現象を、霊界側にいる高級霊が、地上に霊的真理・霊的知識を伝える手段として利用したものが「霊界通信」です。そして霊界から送られてくるメッセージの内容を厳しくチェックし、霊媒現象の“真偽”を明らかにしようとしたのが、スピリチュアリズムによる霊界通信の研究だったのです。

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