(2)物体移動・物体浮揚

――エクトプラズムの存在

人が直接手を触れないのに物体が移動したり、空中に浮き上がる現象が存在します。外から見ているかぎりマジックショーと似ているため、何かトリックがあるに違いないとかたくなに思い込んでいる人がいますが、実際には何のトリックも仕掛けもありません。

こうした現象は今日でも、世界各地でひんぱんに見られます。以前テレビでも放映されましたが、東南アジアのある国(インドネシアかマレーシア)から招待された行者が、机の上に置いてあったタバコ数本を空中に浮き上がらせていました。タバコは五十センチくらいの高さの所を跳ねるように浮いていました。また旧ソ連邦ではこの種の研究がかなり盛んに行われており、机の上に置かれたボールや木片などを手を触れずに(二十センチほど離して)あちらこちらへ動かしている様子が、テレビでたびたび紹介されました。

こうした現象に対する近代心霊研究で最も有名なものが、クローフォード博士がゴライヤー家の七人の霊媒を使って行った実験です。この実験では、重さ二十キログラムのテーブルが空中に浮揚しました。クローフォード博士は、この浮揚中の写真を何枚か撮っています。そして物体が空中に浮き上がるメカニズムについても言及しています。それによると霊媒の膝の辺りから出た“エクトプラズム”という半物質が、足先から床を伝わってテーブルを支えているということです。そして博士がテーブルの下に手をやると、ヒヤッとするような感触でエクトプラズムが確認でき、その瞬間にテーブルは落下しました。「物体の空中浮揚」や先に述べた「人間の空中浮揚」は、霊媒の体内から出たエクトプラズムが下から支えたり押したりして引き起こされる現象であることが明らかにされました。

近代心霊研究では、このエクトプラズム解明のために、かなりの時間が費やされました。特にノーベル生理学・医学賞を受賞したフランス人、シャルル・リシェは、エクトプラズムについて集中的に研究しました。“エクトプラズム”という名前は彼の命名によるもので、“抽出された”を意味するギリシア語のエクトスと“原形質”を意味するプラスマからつくられた合成語です。

シャルル・リシェ
シャルル・リシェ

エクトプラズムは、入神状態に入った霊媒の鼻や口や膝などから、濃い霧のような状態で出てきます。それが徐々に凝縮して粘着性を持った物質のようになり、やがて手に触れたり握ったりできるようになります。エクトプラズムの堅さは、状況に応じてさまざまに変化します。驚くべきことに霊媒から出たエクトプラズムは、時には人間の全身の姿や、人間の身体の一部(腕や指先など)を形づくることもあります。これがエクトプラズムによる「物質化現象」です。

そして時間が経つと、エクトプラズムは再び霊媒の体内に戻っていきます。エクトプラズムが体外に出ている写真は数多く撮られています。エクトプラズムの性質を化学的に分析してみた結果、その匂いはつのを焼いたときのようであり、主成分は唾液だえきに似ており、ある種のリン酸塩であることが確認されています。

さらに驚くべきことに、エクトプラズムが体外に放出されているときは、霊媒の体重が極端に減少することも確かめられています。人間の身体の一部が溶け出したり、元に戻ったりするというようなことは常識的には信じがたいことですが、これは間違いのない事実なのです。おそらく研究に携わった学者たちも、初めはこの現象をなかなか信じることができなかったに違いありません。今日のスピリチュアリズムでは「物理的心霊現象」には、このエクトプラズムが関係していることが常識となっています。

ゴードン・ヒギンソンとエクトプラズム
物理霊媒のゴードン・ヒギンソンの口から流出しているエクトプラズム(Psychic Newsより)
エクトプラズムによって浮遊するテーブル1
45ポンド(約20キロ)のテーブルが、エクトプラズムによって持ち上げられている
エクトプラズムによって浮遊するテーブル2
エクトプラズムによって浮揚するテーブル。テーブルは直前まで、前かがみになっている男性の後頭部の辺りにあった

ホーム

はじめての方へ

関連サイト

サイト内検索

トップ