(3)霊的意識と潜在意識

「霊の心」と霊的意識

死によって肉体を脱いで霊体だけになった人間(霊)は、あの世(霊界)で、どのような状態で存在するようになるのでしょうか。「唯物主義」に立脚した現代医学では、人間の精神活動や思考は、すべて“脳”によってなされていると考えています。しかし肉体の死とともに脳はなくなっても、人間は死後の世界で、生前と全く同じように精神活動をしています。

この霊的事実は、人間のさまざまな精神活動や思考は脳によってなされているのではなく、霊体の中で行われている、ということを示しています。霊体の中には、思考をつかさどる心のような部分があるということなのです。霊体の中には、高度な思考をする心が存在します。これをスピリチュアリズムでは「霊の心」と呼びます。私たちの思考の多くの部分が「霊の心」によってなされています。言い換えれば、私たちは霊的世界(霊的領域)で、広範な思考活動をしているということなのです。

では“脳”は、いったい何のためにあるのでしょうか。脳はどのような働きをしているのでしょうか。脳の一番の役目は、霊の心の意識これを「霊的意識」と言います)の受信機であるということです。霊の心で発生した「霊的意識」は、脳という物質(肉体)の受信機を通して地上人に伝わります。霊的意識は、脳を通過した後に自覚されるようになります。これが脳の受信機としての役目なのです。

脳は、まさにラジオの受信機のようなものです。「霊の心」という放送局から送られてくる情報(霊的意識)を受信する機械なのです。もし、この受信機が故障したり極端に性能が低下すれば、当然、霊の心からの情報を受信することができなくなります。これが“脳障害”による精神障害・意識障害なのです。

顕在意識と潜在意識

現代の心理学では、顕在意識(日常、我々が自覚する意識)の深部に、それとは別の日常では自覚することのない潜在意識があることに気がついています。実はこの“潜在意識”とは、スピリチュアリズムで言う「霊の心の意識(霊的意識)」のことなのです。地上にいるかぎり、霊の心の意識は“脳”を中継して、初めて自分の心(意識)として自覚されるようになっています。

しかし「霊的意識」のすべてが地上人に自覚されるというわけではありません。霊的意識は脳という物質の受信機を経るため、そのほんの一部分だけが伝わるようになっています。大部分の内容は、伝わらないままなのです。私たちが日常、自分の意識だと思っているものは、実は霊の心の意識(潜在意識)のごく一部分にすぎません。その意味で、私たち地上の人間は本当の自分自身の姿(心)を知らない、ということになります。

催眠術や瞑想法などによって脳の受信感度が高まると、潜在していた霊の心の意識内容を思い出すことがあります。霊の心には、地上時代のすべての行動や思考が記録されています。私たちがとっくに忘れてしまった過去の出来事や、前世に関する情報まで、事細かに記録されています。

テレパシーと心の同化作用

さらに、この「霊の心」には、他にも優れたさまざまな能力が備わっています。その一つが、他人の感情や心の中身を“テレパシー”によって感じ取ることができる、ということです。その度合いがあまりにも強いときには、他人の心と自分の心が「同一化」したような状態になり、まるで自分と他人が同じ人物になってしまったかのように感じることになります。

こうした心(意識)と心(意識)の融合、感情と感情の融合は、霊界である程度のレベルにまで至ると、ごく当たり前に体験するようになります。他人の心との融合化・共有化・一体化という、地上生活中には全く存在しなかったことが、霊界では起きてくるようになるのです。これについては、第四章(四)「類魂」の箇所で詳しく述べます。)

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