(3)神は霊界・宇宙の創造者

……「創造主としての神」

神は霊界・宇宙の創造主

神は、霊界と宇宙(物質界)を造られました。神はまた、霊界と宇宙のすべての存在物(天使・人間・動植物)を創造されました。具体的にどのようなプロセスで、神がこれらを創造していったのかは、今後の科学が明らかにしていくことになるでしょう。

神が万物を創造したということは、創造者である神と造られた万物が、別々の存在であるということを意味します。この神と万物の関係を、人間の母親と赤ちゃんのたとえをあげて説明すれば次のようになります。

胎児が、まだお母さんのおなかの中にいてへその緒で結ばれている間は、お母さんと胎児は肉体的に一体となっています。このとき胎児は、まだお母さんの肉体の一部と言えます。もしお母さんが死ぬようなことになれば、赤ちゃんも同時に死ぬことになるからです。しかし、いったんお母さんの肉体から生まれ出た後は、赤ちゃんは母親とは完全に別の存在となります。お母さんが死ぬようなことになっても、赤ちゃんは生きていくことができるからです。赤ちゃんは母親によって存在するようになりましたが、生まれてからは母親とは別の人間になったのです。

神と万物との関係もこれと同じで、いったん創造された後は、神と万物は別々の存在となったのです。

神によって創造された人間

私たち人間も、神によって造られました。その事実は、神が人間にとっての「生みの親」であるということを意味します。神は人間にとって「霊的な親」なのです。私たちの内には、神の分霊(ミニチュアの神)が存在しています。その“神の分霊”こそが、私たち人間の一番の本質であり本我なのです。大霊である神は、自らの内から分霊を出し、独立した“魂”としました。そしてこの魂に“自由意志”を与え、自分と対等な立場を与えました。これが神による人間創造のプロセスです。こうして親なる神によって生み出された人間は皆、神の家族の一員となり「神の子供」となったのです。

分霊として独立するまでは、私たちは人間として存在していませんでした。私たちは皆、“霊の大海”の中に溶け込んでいました。大霊である神が、そこから一滴を取り出して(分霊化して)ミニチュアの大霊としたために、神とは別の個性的存在として誕生することになったのです。「神の子供」として神から生まれた私たち人間の内には、多くの“神的要素”が含まれています。人間の創造に際し、神は自分の内にあったさまざまな要素を人間に付与しました。こうして人間は、神に似た存在となったのです。

“汎神論”は間違い

以上が神の創造についての説明ですが、このようにスピリチュアリズムは明確な「創造神論」の立場に立っています。この創造神論に対立する考え方が汎神論的神観です。

“汎神論”は、宇宙・万物をそのまま“神”と見なす思想です。神イコール宇宙・神イコール万物と考え、宇宙のすべては“神のあらわれ”であるとします。こうした論法で、神の創造性を否定します。汎神論の論理を極限まで突き詰めると、私たち人間は神の身体の一部、神そのものということになってしまいます。しかし、これは霊的事実とは一致しない間違った考え方です。神の創造性を否定する“汎神論”は間違っています。

とは言っても、汎神論的発想が分からないわけではありません。なぜなら深い瞑想中に味わう至福状態下では、自分自身が宇宙そのものになったような体験をすることがあるからです。まさに神と一つになったような強烈な感覚の世界に入ることがあるのです。しかし、それはどこまでも主観的な霊的感覚であって、実際に大霊である神と一体になったわけではありません。自分の身体が、神と融合してしまったわけではありません。

一方、古代インド思想や神智学では、人間は長い霊的進化の果てに“ニルバーナ”という境地に至って神と一つに融合するようになる、と教えてきました。言うまでもなくニルバーナの思想は事実ではありません。人間はどこまでいっても「神の子供」であり、神とは別の存在として生きていきます。人間の霊的成長は永遠に続き、これで終わりという時は訪れません。そうした限りのない霊性進化の過程の中で、人間は“愛”において神とより密接になっていくのです。神と人間は愛の関係において一体化を深めていきますが、存在そのものが融合して一つになってしまうようなことはありません。

――汎神論では、神と万物(宇宙や人間など)のどちらの側にウエイトを持っていくかで世界像が大きく違ってきます。“万物の側”にウエイトを置けば創造神の存在を否定することになり、それをさらに進めれば“唯物論”にまで至ってしまいます。しかし、これまで宗教で説かれてきた汎神論は“神の側”にウエイトを置いて万物を論じたものであり、神の存在を否定しようとしたものではありません。

――シャカは、神の存在を否定して人間中心の教えを説きました。これは霊的事実の観点からすると明らかに誤謬ごびゅうであり、真理の大きな後退と言えます。

――シルバーバーチは時に、「あなたは神なのです」と言うことがあります。これを文字どおりに受け取ると“汎神論”を説いていることになってしまいます。しかし実際にはシルバーバーチは汎神論ではなく、どこまでも創造神的立場に立っています。

シルバーバーチの言葉の一部だけを見ると汎神論のように感じられるかもしれませんが、絶えず祈りの中で「あなた……」と神に語りかけていることから明らかなように、シルバーバーチは神と自分を別々の存在として意識しているのです。

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