(1)地上人生の目的

――「魂を成長させること」

地上人生の目的とは

一人ひとりの人間が至った霊的成長レベルのことを「霊格」と言いますが、その霊格が死後の霊界での界層を決定することになります。霊の世界での生活が永遠であるのに対し、地上人生はほんのわずかな時間にすぎません。この事実は地上人生の目的が――「魂を成長させて永遠の死後の世界に備えること」であることを示しています。地上における束の間の人生によって“永遠の世界”での幸福が決定されるとするなら、地上生活を送る私たちは、何よりも自らの霊的成長を人生の第一目標としなければなりません。人類にとっての重大な哲学のテーマの一つが「人間は何のために生きているのか?」というものですが、その答えは「魂の成長・霊的成長」という一言で言い尽くされてしまうのです。

しかし現在の地球上には、「自分の心(魂)を成長させることが、自分の人生の目的である」と断言する人はめったにいません。心の大切さを強調する人はいますが、霊的成長が地上人生の目的のすべてであると主張する人はいません。一方、霊界では、一人ひとりの霊が自分の霊的成長を人生の最大の目的とし、それを求めて歩み続けています。霊界人が霊的成長にかける熱意は、地上人がお金に対して抱く執着など足元にも及びません。それほど霊界では、霊的成長がすべての人々の願望となり、人生の目的そのものとなっているのです。この点で霊界人と地上人では、天と地ほどの違いがあります。

霊的成長を効果的に達成する地上世界

神は、人間が霊的成長をなすにふさわしい場所として地上世界を造られ、そこで生きていくための道具として肉体を与えられました。地上が霊界と比べてきわめて粗雑で、何をするにしても困難がともなう場所であるのは、人間の霊的成長を効果的に促す環境として、神がそのように計画されたからなのです。

そうした神の配慮によって、肉体を持って生きる地上生活の間に、人間は短期間で永遠の世界に対する準備をすることができるようになっています。霊界で生活するための霊的土台をつくることが、地上人生で可能となっているのです。この点からも地上人生の目的が――「霊界行きに備えて霊的成長をなすこと」であることが明らかになります。

大切な地上人生を無駄にする多くの地上人

地上人生は霊界における永遠の生活を決定するという、きわめて重要な意味を持っています。しかし残念なことに大半の地上人は、その大切な地上人生を無意味に過ごしています。せっかく地上人生というチャンスを与えられながらも、肝心な霊的成長を促すような歩みをせず、どうでもいいような肉体を満足させるためだけの生活を送っています。わざわざ地上に生を享けたにもかかわらず、それをすべて無駄にするような生き方をしているのです。ほとんどの地上人が、神が与えてくれた最高の宝を自ら捨て去っています。そして死んで霊界に行って初めて、自分にとって最も価値のある貴重な宝を捨て去ってきたことに気がつき、後悔するようになるのです。

このような地上人の「霊的事実」に対する無知は、地上人をより高い世界へ導くことを使命とする高級霊にとって、大きな嘆きとなり悩みとなっています。そうした霊界人の思いを、シルバーバーチは次のように述べています。

「残念ながら大部分の地上の人間においては、霊があまりにも奥に押し込められ芽を出す機会がなく、潜在的な状態のまま放置されています。物質にすっかり浸りきり、霊が今にも消えそうな小さな炎でしかない人が大半です。大多数の人が身につけるべきものをロクに身につけようともせず、地上を素通りしております。

ですからイザこちらの世界にきたときには何の備えもできていないか、さもなくば、一から学び直さなければならないほど、誤った思想・信仰によってぎゅうぎゅう詰めになっています。本来そうしたものは地上の方がはるかに学びやすく、その方が自然なのです。

霊界へ送り込まれてくる人間の中にも、もしも地上で霊的知識を身につけていたら、こうまでひどくならなかったであろうに、と思われる廃残者・堕落者・霊的生活への備えがまるでできていない者が、あまりにも多すぎるのです。無知と恐怖と迷信と偏見に満ちた者ばかりなのです。」

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