第1章 地上人生の意義と目的

地上人生の目的は、霊界を知って初めて分かるようになる

霊的真理を知らない地球上の大半の人々は、地上での生活がすべてであると考えています。なかには、「今から死後のことなど心配するのは愚かしいことである。それは現実の人生からの安易な逃避にすぎない」と言う人もいます。死後のことなど考えずに、今を精いっぱい生きるべきだ、と言うのです。

しかし実際に霊界がある以上、そうした地上世界をすべてとする考え方(人生観・価値観)は間違いです。それは広い世界を見たことがない井の中のかわずが「自分は偉い!」と独り自慢をしているのと同じであり、その人の人生は、おそらく的外れで無駄なものになってしまうことでしょう。

「地上人生の意義と目的は何か?」についての答えは、霊界まで含めた視点に立って得られるようになるものなのです。霊界の実在を知らない人間が、いかに地上人生の意義を探ろうとしても不可能です。地上世界という小さな枠の外へ出て、初めて地上人生の真の意義と目的が分かるようになるのです。

地上人生の目的は、霊的成長をなすこと

では地上人生は、いったい何のためにあるのでしょうか?「魂を成長させて、死後の霊界での生活に備えるため」――それが答えです。地上人生は霊界での生活と比較するなら、実にわずかな期間にすぎません。その短い地上での生き方が、死後における永遠の世界での歩みを大きく左右し決定することになります。地上人生という限られた時間は、まさに霊界へ行くための準備期間に他ならないのです。

すべての人間は、霊的成長をなすために地上に生まれ、そこで生活するようになっています。「地上人生は霊的成長のためにある」と言っても過言ではありません。

何度も地上人生をやり直すことになる

地上世界には、私たちの基本的な霊的成長を促すために必要なあらゆる条件が備わっています。永遠の霊的成長の基礎となる部分をつくり上げることが、地上人生の最大の目的です。地上生活を通じて到達すべき一定の成長レベルは神から決められていて、そこに至らないうちは、何度でも地上人生をやり直さなければなりません。もし回り道をしてしまうなら、長い苦しみの期間を費やしてそのプロセスを通過しなければならないのです。

残念なことに、大半の人間は地上人生を無駄に過ごしています。有意義に人生を送っている人は、ほとんどいません。その一番の原因は――「霊的真理を知らない」という一点に帰着します。すなわち大半の人々が霊的世界と霊的事実に対して無知である、ということなのです。その結果、地上人生の意義が分からずに地上的な煩悩ぼんのうや物質欲に翻弄ほんろうされ、肝心な霊的成長を果たすことなく人生を終えてしまうようになります。

そうした人間も霊界に入ると、大切な地上人生を無駄に過ごしてきたことを悟り、たいへんな後悔をするようになります。そして、「地上に再生して霊的成長の道を歩み直したい!」と思うようになるのです。

地上人生を無駄に過ごす多くの人々

霊的世界に対する無知から多くの人々が、どうでもいいこと・何の価値もないことに時間とエネルギーを費やして地上人生を過ごしています。彼らが人生を懸けて追い求めているものは、財産・地位・名誉・快楽といった霊的には全く価値のない、死とともに消滅してしまうものばかりです。地上で生きていくためには最低限の物質は必要ですが、限度を超えて求めることは間違っています。お金やモノは、霊的成長にプラスとなるように活用してこそ価値を持つものなのです。物質的なものを得るために費やす時間とエネルギーは、できるだけ少ない方がよいのです。

繰り返しますが、私たちの地上人生は「霊的成長」のために与えられています。それが地上人生の目的であって、それ以外にはありません。その最も重要なことを無視して物質的快楽を追い求めるなら、せっかくの地上人生をすべて無駄にしてしまうことになります。 物質的な狭い視野を離れ、霊的視野から常に自分の人生を考えなければなりません。霊的真理を実践して霊的成長の道を歩んだとき、初めて本当の意味での充実した地上人生・生きがいのある地上人生を送ることができるようになるのです。物質的・地上的な喜びだけを追い求めるような歩みは、虚しいものです。

シルバーバーチは、次のように述べています。

「それ(霊的成長)が、地上での存在の理由のすべてなのです。なのに現実は、大多数の人間が身につけるべきものをロクに身につけようともせずに地上を素通りしております。ですから、イザこちらの世界へきた時には何の備えもできていないか、さもなくば、一から学び直さなければならないほど、誤った思想・信仰によってぎゅうぎゅう詰めになっています。本来そうしたものは地上の方がはるかに学びやすく、その方が自然なのです。」

「嘆かわしいほど無知な人々――自分が霊的存在であることを知らず、したがって“死” の彼方にも生活があることを知らずにいる人々に、そうした基本的な知識を広めるために、 我々がしなければならないことが山ほどあります。せっかくのこの地上生活を、霊的実在 について聞く耳も、語る口も、見る目も持ち合わせないまま終えてしまう、数え切れないほど多くの人たちのことを思うと、何たる悲劇! と叫ばずにはおれません。これは大悲劇です。」

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