(3)霊性教育の重要な要素

――親が子供に与える“霊的栄養素”

子供の霊的成長を促すためには、親は子供に霊的栄養素を与えなければなりません。その霊的栄養素とは、「正しい霊的知識」「正しい愛」「正しい手本」です。これが神の代理者として、親が子供に与えなければならないものなのです。

正しい霊的知識

親から教えられた知識は、そのまま子供の“潜在意識”の中に刻み込まれて人格の一部となり、その後の人生に大きな影響を与えることになります。子供は親から与えられた知識を無条件に信じ、一生それを引きずっていくようになります。幼いときに間違った考え方を教え込まれると、大きくなってから正しい人生観・世界観に触れても、もはやそれを受け入れることができなくなってしまいます。このように「正しい霊的知識を教える」ということは、子供の一生を左右する重要なことであり、霊性教育の根幹要素となります。

霊的真理を知らない親に育てられ、間違ったエゴ的人生観・物質的価値観を教え込まれた子供は、本当に気の毒としか言いようがありません。人間にとって魂の成長こそが何より大切なものであることを知らない親に育てられ、この世の富・名声などに価値があると植えつけられた子供は実に不幸です。親としての最も重大な義務と責任は――子供に分かりやすい言葉で繰り返し「基本的な霊的真理」を教えることなのです。

正しい愛

およそ人の親として、我が子をいとおしく思わない者はいません。しかし「霊的成長」という点から見たとき“かわいい”という感情だけで子供に接すると、大きなマイナスを引き起こすことになります。親が子供を思う気持そのものは純粋なのですが、その思いの根底には、しばしば本能的な“利己性”が存在しています。強い母性愛には“子供は自分のもの”という所有観念がともなっていることが多く、本当の愛・利他的愛とは言えません。

子供の肉体はたしかに両親によってもたらされましたが、「霊(魂)」は神によって与えられたものです。霊こそ人間の本質である以上、生まれた子供は両親のものである前に「神のもの」なのです。神から、立派な人間に育てるようにと授けられたのが子供なのです。したがって子供は「神からの授かりもの」と考えるべきです。子供を“自分のもの”と考えることは間違いです。神の前にあっては、自分も我が子も等しい神の子供であり、同等の霊的価値を持った存在なのです。

親としての正しい愛は――我が子に対して、神から一時的に預かった「神の子供」であることを自覚し、「子供の霊的成長を第一に願う」ところから始まります。そして子供の霊的成長のためなら“どのような犠牲も厭わない”という決心ならびに具体的な実践の中に示されます。また親としての正しい愛は、子供の霊的成長のために神と守護霊に導きと援助を願い出る“謙虚な祈り”として示されます。真実の愛には、必ず真剣な祈りがともなうようになるのです。

これらのすべてがあるとき、親は正しい愛を子供に与えたことになります。「霊的な愛・真実の愛」で子供を愛したことになるのです。

正しい手本

親の生き方は、子供にとっての生きた手本となります。親が霊的人生を真摯に歩む姿を見せていくことが、そのまま「霊性教育」の方法となるのです。ああしろ、こうしろと強制したり、押し付けることよりも、親が「正しい手本」を見せることが重要であり、それが最も効果的な教育方法なのです。

こうした意味で、親は子供にとっての良き人生の先輩となるために、日頃から内面の努力を怠ってはなりません。口先だけで子供に教えようとするよりも、親が良き信仰者の見本を示すことが大切です。この世の欲や富に翻弄されることなく質素な生活を送り、常に人助けを心がける生き方こそが、子供に霊的成長のための“霊的栄養素”を与えることになるのです。そしてそれが子供の実行力・実践力を引き出すことになるのです。

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