23章 さまざまな質問に答える

〔この章でシルバーバーチは、自殺、安楽死、産児制限、動物虐待などに関する見解を述べている。〕

自殺の問題

〔自殺についてのシルバーバーチの考えは、はっきりしている。地上人生を自ら終わらせることは、完全に摂理に反することである。自殺に対するシルバーバーチの説明によって、次のような質問をした女性は自殺を思いとどまることができた。〕

――愛する人に先立たれた者が、自ら命を絶つことは許されるでしょうか。

いいえ、許されません。摂理の働きは完璧ですから、あなたはそれに忠実に従って生きなければなりません。摂理は大霊によって、すなわち完全なる愛によって統制されています。大霊はすべてのものに存在すると同時に、すべてのものを通して顕現しています。大霊によって統制されている摂理の働きを妨げる権利を有する者はいません。もしあなたが、摂理に反して自ら命を絶つとするなら、その行為に対する代償を払わなければなりません。

例えば、熟さないうちにもぎ取ったリンゴは美味しくないように、あなたの霊に準備ができていないうちに霊界へ行ったなら、長い調整期間の中でその代償を払わなければなりません。愛する人々とも会えなくなります。自殺によって、あなたと周囲の人々との間に隔たりができてしまうからです。

〔この質疑応答は翌週の《サイキック・ニューズ》紙に掲載され、それを読んだ当の女性から次のような礼状が届いた。〕

「司会をされた方がシルバーバーチ霊にお礼を言ってくださったかどうか存じませんが、早々にこのような明解な答えをいただいたことに対して、どうか“あとに遺された者”からの感謝の気持ちをお伝え願えませんでしょうか。正直に言って、回答を読んだときは暗たんたる気持ちになりましたが、今ではお言葉に従って、霊界からお呼びがかかるまで力の限り生き抜く覚悟を決めております。」

訳注――カール・ウィックランドの『迷える霊との対話』(ハート出版)の中に、十年前に自殺をした女性が出現して語っている例が紹介されている。その中で、本当は十年後のその日に死すべき運命にあったものを、摂理に反した死に方をしたために、その日まで苦しみ続けたと述べている。

安楽死は許されるか

〔安楽死についてはスピリチュアリズムの内部でも賛否両論がある。回復の見込みがないと診断された患者を苦痛から解放するために、医者がその命を断つことは許されるはずだという意見と、スピリチュアル・ヒーリング(霊的治療)によって奇跡的に回復する例がある以上、安楽死は認めるべきではないという意見がある。常に「生命は神聖なものである」と主張するシルバーバーチに、安楽死の是非を尋ねてみた。〕

――回復の見込みがない患者を安楽死させる権利を医者に与えるべきだ、という意見がありますが、どう思われますか。

まず申し上げておきたいのは、すべての生命は大霊のものだということです。肉体が衰えて霊がその肉体から解放される時がくれば、人間は自然の摂理に従って死を迎えます。

――医学的処置によって延命することは正しいと思われますか。

間違ってはいません。

――たとえそれによって苦しみを長引かせることになってもでしょうか。

そうです。ただし、忘れてはならないことが一つあります。それは魂が解放される時がくれば、人は必ず死を迎えるということです。地上のいかなる手段をもってしても、摂理を変えることはできません。

――不治の病に苦しんでいる人を安楽死させることは、その患者に霊界または来世(次の地上生活)で、さらなる苦痛をもたらすことになるのでしょうか。

いいえ、そういうことはありません。しかし安楽死は、準備のできていない霊にショックを与え、影響を及ぼすことになります。それによって不要だったはずの調整を、いろいろとしなければならなくなります。

――人間には寿命を引き延ばす力が備わっているのでしょうか。

延命のために努力することは間違ってはいません。しかし、霊が地上を去る時がくれば、あなた方はそれ以上何もできません。

――それでは、延命のための努力は無駄に終わるということでしょうか。

はい、そうです。あなたがおっしゃる医学的処置によって寿命を少しばかり引き延ばすことができたとしても、結局みんな死んでいくではありませんか。

――でも、患者は少しの間であっても生き続けることができます。

患者が反応すればのことです。酸素を与えるという方法もありますが、それにも限界があります。魂が霊界へ行く準備が整えば、あなた方になすすべはありません。

――死期が決まっていて、魂に準備が整った時に霊界へ行くことになっているのなら、人間の寿命はなぜ、時代とともに少しずつ延びているのでしょうか。

地上人類は進化しているからです。物的なことは霊的なことによって決まるのであって、物的なことが霊的なことを決めるのではありません。

産児制限(避妊)は是か非か

〔シルバーバーチは、人工妊娠中絶に対して断固として反対の立場を主張している。ところで妊娠自体を避けようとするのは、正しいことだろうか。シルバーバーチの産児制限に関する意見を聞いてみよう。〕

――産児制限について、霊界ではどのように考えているのでしょうか。

人間には自由意志と、善と悪を区別する判断力(良心)が与えられています。この問題も最後は“動機は何か”に帰着します。なぜ産児制限をするのか、じっくり考えてみることです。大切なのは動機です。それ以外にはありません。

――生命の誕生を制限するのは摂理に反することなのでしょうか。

霊が地上に誕生することが予定されている場合には、避妊をしない夫婦を通して生まれてきます。摂理は絶対です。夫婦の進化にとって子供を持つことが不可欠な体験であるなら、おのずと新しい生命の誕生を望むようになり、それが妨げられることはありません。

――そうすると、私のもとに子供が生まれてくることが予定されているときには、「子供が欲しい」と思うようになるということでしょうか。

そうです。あなたは、新しい生命の誕生がもたらす影響を必要とする進化の段階に達したということです。

――それは、高い次元での進化ということでしょうか。

いいえ、進化の次元の高い低いの問題ではありません。性的快楽だけを求めて避妊をする人と、そうでない人を明確に区別しなければなりません。私が賛成しないのは、利己的な動機からの避妊です。

――生まれてくる子供にとって好ましくないという考えからの避妊については、どうでしょうか。

それが動機ということではないでしょうか。すべてのことに動機が問われます。摂理をごまかすことはできません。行為の一つひとつ、思念の一つひとつ、願望の一つひとつが、あなたの魂のオーラに刻み込まれます。霊界の人々には、あなたのすべてがはっきりと分かるのです。あなたの魂は、彼らの前では丸裸です。あなたが地上で抱いた動機のすべてが、霊界人には知られているのです。

――女性が妊娠したあと、霊はどの時点で胎児に宿るのでしょうか。

納得できない方も多いと思いますが、精子と卵子とが結合してミニチュアの形で個体(媒体)ができ上がったときから、その霊にとっての地上生活が始まります。

――精神障害者の場合には、地上生活が無駄になってしまいます。その障害によって何も学ぶことができないからです。障害が遺伝的なものである場合には断種(不妊手術)ということも考えられますが、霊界側ではそれをどう見ているのでしょうか。

私はもとより、宇宙のいかなる存在も、生命の摂理を変えることはできません。一個の魂に物質界へ誕生する準備が整えば、かならず誕生します。あなた方は「なぜ?」と尋ねるでしょう。そこで私は「再生」を説くのです。そこに理由があるからです。

動物ヘの虐待行為

〔摂理を犯しておいて“知らなかった”では済まされない。人間や動物に無用な苦痛を与えることは摂理に反しており、どのような言い訳をしても、その代償はいずれ払うことになる。以下は動物虐待についての質疑応答である。〕

――無力の動物に対してひどい苦痛を与えるような実験がますます増えていますが、どう思われますか。これを中止させようと運動している人々もいますが、彼らは霊界から援助を受けているのでしょうか。

人のためになる仕事をしようと努力するときには、必ず霊界からの働きかけがあります。彼らを鼓舞し、霊力を与え、その仕事を援助します。動機は何であれ、大霊によって生み出された動物に苦痛を与えることは間違っています。とは言え、動物実験に携わっている人の中には、摂理に対する無知からそれをしている人がたくさんいることを忘れてはなりません。「人類のため」という動機からの行為なのですが、摂理に反していることには変わりありません。

――でも、あなたは動機がいちばん大切であると何度もおっしゃっています。人類のためと思ってしていることでも、摂理に反した罰を受けるのでしょうか。

たしかに動機は間違ってはいないかもしれませんが、摂理は変えられません。動物に苦痛を与えていることを知りながら実験を続けるのは、責任を自覚しているということです。「人類のため」という動機はよいのですが、動物に苦痛を与えているのは事実です。そうした点を総合的に考慮したうえで判断が下されます。いずれにせよ、私としては苦痛を与えるということには賛成できません。

――動物は人類を助けるために地上に生まれてくるのでしょうか。

はい、その通りです。同時に人類も動物を助けるために存在しているのです。

――人類のためというのが、動物を創造した唯一の目的ではないと思うのですが……

そうです。動物を創造した目的の中に「人類のため」ということも含まれているという意味です。

――動物の生体解剖は動機が正しければ許されると思いますか。

いいえ、許されません。残酷な行為がどうして正当化できるでしょうか。苦痛を与え、もだえ苦しませておいて、どうして正義と言えるでしょうか。それは、私たちの教えとはまったく相容れません。無抵抗の動物を実験台にすることは間違いです。

――動物を実験材料とした研究からはガンの治療法は発見できないという考えに、同意されますか。

地上では、摂理に反した生活によって引き起こされた病気に対する治療法を考え出すことはできません。すべての病気に対する治療法は、いずれ発見されるでしょうが、それは動物実験からは見つけ出すことはできません。

〔シルバーバーチは、いかなる生命も神聖なものであることを繰り返し説いている。ある日の交霊会で狩猟が話題となり、メンバーの一人が質問した。〕

――キツネ狩りは間違っているのでしょうか。

すべての生命は大霊のものです。いかなる形にせよ生命を奪うことは許されません。

――でも、ウチのニワトリを二十羽も食い殺したのですが……

もし私が、そのキツネに銃を与えて、二十羽もニワトリを食べたあなたを撃ち殺せと命令したらどうなりますか。大霊は地上のすべての子供たちに、十分な食べ物を用意してくださっています。人間が飢えに苦しむのはキツネが悪いのではなくて、人間自身の考えが間違っているからです。

地上人類がもっと進化すれば、すべての野蛮な欲望は消滅することでしょう。あなたがキツネやニワトリをつくることができるなら、それらの生命を奪い去ることも許されるでしょう。あなたがキツネやニワトリを殺すことが正しいと言うなら、同胞を殺してもいいということになります。しかし、生命は人間のものではありません。大霊のものです。生命を奪う者は、いつかはその責任を取らなければなりません。

――オーストラリアではウサギの異常繁殖が脅威となっていますが、これについてはどうでしょうか。

人間は本来そこにあるべきではないものを勝手に持ってきて、それがもたらす悪い結果に文句を言います。それは私の(地上時代の)国にやって来た白人ついても言えます。白人は、自分たちにとっては良いものであっても、インディアンにとっては良くないものを持ち込みました。

戦争も白人がもたらしました。また火酒かしゅ(ウィスキー・ジンなどアルコール分の強い酒――訳注やその他、インディアンに不幸をもたらす多くのものを持ち込みました。白人がやってきて、人を撃ち殺すことは正義であるかのように吹聴するまで、インディアンは銃で人を撃ち殺すことなど知らなかったのです。

そのうちあなた方は、宇宙のあらゆる生命体――動物も小鳥も魚も花も――が大霊の計画の一部を担っていることを理解するようになるでしょう。大霊の創造物として存在していることを認識するようになるでしょう。

〔シルバーバーチは、スピリチュアリズムには三つの重要な内容があることを述べている。その一つは心霊能力、一つはサービス(奉仕・利他愛の実践)、そしてもう一つは霊による導きである。〕

霊媒能力・心霊能力について

〔霊媒能力には二つの側面がある。霊的世界に対する感受性と、それを他人のために役立てるという責任である。シルバーバーチは、霊媒能力を持った交霊会の参加者に、次のように語った。〕

あなたはこのサークルに参加することによって、大霊のサービス(愛)を受け入れることになりました。あなたは霊媒能力を持っています。どうかそれを人のために活用してください。大霊が子供たちに与えた霊力は、他のすべての人々のために活用されなければなりません。もし、あなたがその霊力を間違って用いるなら、大霊に背くことになります。それは大霊に至る道を閉ざし、あなたの人生を狂わせることになります。霊力を小さなビンの中に閉じ込めておくことはできません。霊力を閉じ込めようとするなら、ビンは破裂してしまいます。

あなたは、自分の持っている霊力を摂理にそって正しく用いなければなりません。摂理は大霊によって造られたもので、それを私がつくり変えることはできません。大霊の摂理は、すべての子供たちが幸せになるためにもうけられたものです。ところが人間は、自分たちは親(大霊)よりも優れていると自惚うぬぼれて摂理に背くようになったために、地上にはさまざまな問題が発生するようになったのです。

〔世間の人々から非難され、落胆している女性霊媒に対して、シルバーバーチは次のように語った。〕

あなたは、非常に強力で優れた指導霊の導きを受けています。もし、あなたが指導霊に対して完璧な信頼と信念を持つなら、すべてがうまくいくようになります。あなたは大霊の道具ですが、自由意志も持っています。人間は皆、大霊から自由意志を与えられているのです。どうか、あなたが手助けできる多くの人々がいることを忘れないでください。あなたを通して素晴らしい霊力が活用されることになるのです。その霊力の働きを信じてください。霊力は、あなたの前途に立ちはだかるあらゆる障害物を取り除いてくれます。

あなたはとても感受性が豊かな方です。あなたは霊媒としてさまざまな悩みを抱えていますが、それはすべて大霊の摂理にそって発生しているのです。私は、今あなたが味わっている苦痛を、あなたに代わって背負ってあげたいと思っています。そうした私の思いを察してください。

大霊の子供たちが食べる物に不自由し、飢えに苦しむ姿を見て、私たちが平気でいられると思いますか。人々が病気で苦しむ姿を見て、安穏としていられると思いますか。戦争によって肉体から無理やり魂が引き裂かれていく様子を見て、じっとしていられると思いますか。地上世界の悲劇に目をつぶっていることはできません。私たちは、地上世界を立て直すためには唯一、この方法(サービス・利他愛の実践)しかないことを知っています。

私たち霊界の者が、地上世界の問題を取り除くことはできません。地上人自身の努力によって、新しい世界を誕生させなければなりません。霊的世界に対する感受性の鋭い人間(霊媒・霊能者)は、地上世界の悲しみをより強く感じ、心を痛めるという犠牲を払うことになります。

どうか、物質的なものではなく、霊的なものに目を向けてください。そうすれば、あなたは大霊の光に包まれ、いずれ朽ちていく肉体の奥にある不滅の霊を傷つけるものは何もないことを悟るようになるでしょう。あなたを取り巻く環境は、あなたの身体に何らかの影響を及ぼすかもしれませんが、それが大霊の賜物たまものである霊を傷つけるようなことにはなりません。

もしあなたが、物質的なものに過度の関心を持たないようにするなら、物質よりはるかに繊細な霊に対する感受性を高めることができるようになります。目に見える物質的なものではなく、目に見えない霊的なもの、大霊と永遠なるものに信頼をおいてください。

私は、これまで自分の霊媒(バーバネル)が苦しむ姿を見てきました。以前にも彼の苦しみについてお話ししたことがありましたが、それを見て私が涙を流してきたことをあなたはご存じでしょうか。私は、彼の重荷のすべてを代わって背負ってあげたいと思いました。しかし私は、人間は苦しみを通して魂が浄化されることになるという大霊の摂理を知っています。

あなたはとても感受性が豊かな方ですから、それに見合った苦悩を味わうことになります。最強の霊力と大霊の完璧な愛が常にあなたとともにあり、それがあなたを通して他の人々に流れていくようになるということを、忘れないでください。霊界の者たちは、あなたに最高の叡智による助言を与え、進むべき道を示し、その霊力によって支えます。私たちは常に、地上世界の嵐と困難からあなたを守り、安らぎの場へと導きます。

あなたは、今の立場に留まっているべきです。霊力は活用されなければなりません。霊力を閉じ込めてしまってはいけません。

あなたは光と影が存在する物質界に生きています。あなたの住んでいる世界は、私たちの世界とは違います。あなたは影の中にいるときは光を忘れ、光の中にいるときは影を忘れてしまいます。雪が降ると寒すぎると言い、太陽が照ると暑すぎると言います。

下を向くのではなく、どうか常に太陽を見上げてください。地上人生において悲しみや喜びの体験を積むまでは、あなたは真の霊媒(高級霊の道具としての霊媒)になることはできません。自分が暗闇の中にいると感じたときには、それは影にすぎず、いずれ消え去るものであることを思い出してください。太陽の光は、あなたの内部に存在する霊の宝を再び輝かせることになるでしょう。

サービス(奉仕・利他愛の実践)の摂理について

〔高級霊たちは常に、サービス(奉仕)の重要性を強調する。サービスによって個人の霊的進化が促され、同時に新しい世界の夜明けがもたらされると言う。高級霊たちはサービスの必要性を説くだけでなく、自ら率先してサービスを実践している。ここでは、シルバーバーチがサービスについて述べた箇所を抜粋して紹介する。繰り返しサービスの重要性を訴えるシルバーバーチの言葉は、それを実践しようとする者にとって大きな励ましとなるであろう。〕

■私たちは、あなた方にサービス(奉仕)をするためにここへやって来ました。もし私たちが一人の人間の魂を引き上げることができたら、もし傷ついた身体を癒し、落ち込んだ魂に勇気を与えることができたら、もし新しい希望と信頼をもたらし、悲しみの涙が流れているところに微笑みをもたらすことができたら、そのとき私たちは大霊に奉仕したことになります。そして地上の道具(同志)を与えられ、彼らを通して傷ついた大霊の子供たちに奉仕できることに感謝を捧げます。

■皆さんは時に、奉仕することにうんざりしてしまうことがあるかもしれません。奉仕の喜びが感じられず、疲れきってしまうことがあるかもしれません。私たち霊界の者は、自分たちへの賞賛は一切求めません。私たちは、摂理の働きを通して大霊に奉仕しようと努めています。そして皆さんに、摂理を活用すれば地上に調和と健康と幸福がもたらされるようになることをお教えしようとしているのです。

■私は、できるかぎりあなた方に奉仕したいと思っています。わずかではあっても光をもたらし、皆さんが人生についての真の教訓を学ぶことができるように手助けしようと努めています。霊的知識によってあなた方の魂は強化され、大霊から託された使命を達成することができるようになります。

■私たちは、ひたすら奉仕に励んでいます。どのような呼びかけにも、どのような要請にも、お応えします。私たちは、あなた方の役に立つことだけを願ってここにいるのです。口先だけでそう言っているのではありません。私たちが奉仕に努めているのは、それを通してのみ大霊を顕現させることができるからです。

■神学者たちは、不可解な神学理論や教義をつくり出してきました。そしてそれが、人類に懐疑と当惑と混乱をもたらすことになりました。宗教のエッセンス(本質)は“サービス(利他愛の実践)”という一つの言葉で表現されます。

■自己を忘れてひたすらサービス(利他愛の実践)に励む人は、大霊を顕現させています。“サービス”――それは現在の地上世界が、最も必要としているものです。それゆえ私たち霊界の者は、地上人にサービスの重要性を訴え、自らサービスの実践に励んできたのです。あらゆる霧と暗闇、懐疑と恐れ、悲しみと争い、苦しみと痛みの背後には、サービスを通しての霊的成長という永遠の目的があることを忘れてはなりません。

■皆さんは、大霊の意思を地上で実現するための“大霊のしもべ”です。その務めを果たす中で、多くの人々の人生に新しい希望をもたらし、同時に皆さん自身もさらなる幸福を手にすることになるのです。あなた方は、強大な霊力が地上に降りる手助けをしています。大霊の摂理が働くための援助をしています。地上世界の悲しみと不幸を一掃するための奉仕に携わっているのです。

■あなた方の背後にあるのは、全生命の始原である大霊の力であり、それは宇宙で最強の力です。あなた方は、その大霊の力が地上界に顕現するための手助けをすることができるのです。他人の魂を引き上げてあげること、励ましの言葉をかけてあげること、霊的であれ物質的であれ奉仕をすることが大切なのです。心から喜んで奉仕に専念することで、あなた方は真の大霊の道具となれるのです。

■大霊の子供たちに奉仕しないで、どうして大霊に奉仕することができるでしょうか。地上世界は表面的な言葉や肩書きやラベルにとらわれ過ぎています。私が重要視するのはサービス(奉仕・利他愛の実践)だけですが、地上では政治や経済や社会を論じる学問が大切にされています。しかし、それらは単なる知識にすぎません。あなた方が人々のための奉仕に励むなら、それが「真の宗教」なのです。

■地上世界での身分の高い低いは重要なことではありません。もしあなた方が、たった一個の魂であっても引き上げることができるなら、暗闇の中にいる人に光を届けることができるなら、無知の牢獄の中にいる人を解放することができるなら、あなた方は大霊に奉仕していることになります。飢えている人に食べ物を与え、のどが渇いている人に水を与え、そして戦争ではなく平和をもたらすことができるなら、あなた方はまさしく大霊に仕えていることになるのです。

霊界からの指導の実際

〔地上へメッセージ(霊的真理)を伝えることが何より重要であるとするシルバーバーチは、自分自身のことについてはほとんど語っていない。しかし地上人類のために大きな犠牲を払って働いている他の指導霊たちについては、時おり述べている。その中からいくつか拾ってみた。〕

――指導霊は、すべての国で、さまざまな分野に働きかけているのでしょうか。

はい、そうです。しかし、試行錯誤の中で何とか継続しているというのが実情です。その原因は、せっかく目星をつけた道具(霊能者)がどこまでこちらの期待に応えてくれるかは、前もって判断できないからです。最後の段階で堕落して使いものにならず、何十年にもわたる努力が水の泡となることがあります。今この時も、物質界の至るところで、こちらからの反応に応えてくれる人間を見いだし、霊界からの影響力を及ぼそうと働きかけている霊が大勢いるのです。

――指導霊たちは、人類の進歩に関わる運動(スピリチュアリズム)に働きかけているのでしょうか。

物質界の進歩のために役立つ仕事をしている人々には、それに拍車をかけて発展させようとする霊団が援助します。善を志向する努力が、無駄になることは決してありません。人類を向上させたいと願っている人、人類への奉仕を切望する人、大霊の子供たちの苦しみを取り除くために戦っている人の背後には常に多くの霊が待機しているのです。

――政治体制の異なる国々、例えば民主主義国家と、独裁主義国家の背後で働いている指導霊たちの関係はどうなっているのでしょうか。

あなた方は、本来は言葉を“道具”として使用すべきところを、逆に言葉の“奴隷”になっています。私たち指導霊の全員が、大霊の摂理をすべての子供たちに教えようとしています。どこにいようと、誰であろうと、大霊の摂理はその子供たちを通して働くからです。霊的成長のレベルがそれぞれ異なっているため、私たちの働きかけが必ずうまくいくとは限りません。手こずることもあります。しかし私たちは、選んだ道具を用いて最善を尽くすしかありません。その際、道具となる人間のラベルは問題ではありません。私たちは、どれだけ役に立つかということだけを考えて働きかけているのです。

――指導霊から積極的な働きかけを受けている人が、それに気づかないということがあるでしょうか。

大いにあります。その事実を知っている方が、知らないままでいるよりも協力関係を強化することができます。

――指導霊の存在を知ることによって、もっと霊力を受けやすくなるのでしょうか。

指導霊の存在を知っていれば、その人間と霊との関係はより親密になります。知らずにいるよりは知っている方が好ましいのです。光が得られるというのに、暗闇にいたいと思う人がいるでしょうか。飲み物があるというのに、どうして渇きを我慢する必要があるのでしょうか。

――指導霊は、決まった霊媒以外の指導をしないのはなぜでしょうか。

そうした質問を聞くと、私たちがこの交霊会を催すために、いかに複雑な方法や手段を駆使しているかが理解されていないことが分かります。私が、この霊媒(バーバネル)を通して使命を果たすために何十年にもわたって準備してきたことを、皆さんはよくご存じのはずです。誰かの要望に応えて、別の霊媒を長い期間をかけてもう一度、養成するようなことはいたしません。

訳注――この回答は、シルバーバーチはなぜよその交霊会に出ないのかとか、どこそこの交霊会にシルバーバーチが出たというのは本当か、といった風評を念頭において述べている。

――霊媒の中にはサイキック能力を十分に発揮できずに、うつ病や精神のトラブルで苦しんでいる人がいるのはなぜでしょうか。

霊体と肉体が不調和状態に陥ったことが原因です。

インスピレーションについて

〔インスピレーションの存在はよく知られているが、その一方で最も信憑性の低い霊媒現象と見なされていることも事実である。人間は死後、思念の伝達を用いて仕事を続けることになる。また、インスピレーションとして自分の思念を地上人の意識に印象づけることができる。そうした霊からのインスピレーションを受け取った地上人によって、多くの仕事がなされてきた。以下は、インスピレーションに関するシルバーバーチのコメントである。〕

「奉仕をしたい」との思いを持って霊界に来た者は、思念の力を用いて地上世界に影響力をもたらす方法を学ぶようになります。地上人類を向上させたいと願う霊たちの強い思念が、地上界に多くの恩恵をもたらすことになります。私たちは、地上人のために奉仕をしたいと考える新参霊たちに、真理普及の戦いに役立つように意識集中の方法を教えます。彼らは肉体的な感覚はすでに失っていますが、その存在自体が地上人にとって助けとなるのです。こうして彼らは私たちと一緒に、あなた方を援助する仕事に携わることになるのです。

質疑応答

――例えば新聞記者などある種の能力を身につけた人間は、すでに他界している、かつて地上で同じ仕事に携わっていた霊から、援助や導きを受けるようになるのでしょうか。

はい、なります。地上世界でもこちらの世界でも、いったん身に付けた能力が失われるようなことはありません。地上世界で発揮していた才能は、霊界に入ってからも進歩していきます。そしてさらに向上すると、自分と同じ才能を持った地上の道具を見つけたいと思うようになります。地上で同じ能力を発揮している人間に働きかけることによって、自分の才能をよりいっそう進化させたいと望むようになるのです。

地上人は、霊界からのインスピレーションを無意識のうちに受け取ることもあれば、意識的に受け取ることもあります。霊的感受性が強い人間は、霊界から送られてくる思念をインスピレーションとして受け取り、それを意識の中に強く印象づけることになります。

――インスピレーションは、集合的存在(類魂)から送られてくるのでしょうか。それとも一人の霊から送られてくるのでしょうか。

両方のケースがあります。

――偉大な詩人や画家などは、霊界からのインスピレーションによって作品をつくり上げていると言われますが、それが事実であるなら、地上人のアイディアにはオリジナリティーがあると言えるでしょうか。

私は、(宇宙の)始まりについても終わりについても何も知りません。大霊は生命であり、生命は大霊です。あらゆる生命の種子が、大霊によって蒔かれています。宇宙に存在している万物は、私の知るかぎり、過去にも常に存在し、そしてこれからも存在し続けます。あなた方は大霊の一部であり、その肉体の奥に大霊の分霊が埋め込まれています。あなた方は大霊のミニチュアであり、それぞれの魂の進化に応じて大霊が有するすべての力にアクセスすることができるようになります。

人間は自らの力で何ひとつ創造することはできませんが、大霊が創造し与えてくれたものに働きかけたり、形づくったり、積み上げたり、向きを変えたり、改良したり、美しくしたり、結びつけたりして、自分たちが住んでいる地球とそれを取り巻く宇宙をより良い所にすることができます。大霊は、子供である人間にあらゆる素材と道具を準備してくださいました。人間はそれらを用いてさまざまなものをつくり上げることができますが、素材を創造することはできません。

催眠術のメカニズムと危険性

――催眠術は研究の対象に値するものでしょうか。

催眠術師が善意の人で、自分の能力を人のために役立てたいという願望から発しているのであれば、よいことです。しかし催眠術というのは、魂の隠れた能力のほんの表面を軽く叩いている程度のものにすぎません。

――催眠術師が接触するもの(潜在能力)とは何なのでしょうか。

自己を超えたもの、つまり内在する大霊と同じものです。私は、これまで何度もあなた方に対して、自分の内部に存在している力を自覚しそれを発揮するなら、克服できない困難はないと申し上げてきました。“隠れた能力”とは、その力のことです。高いバイブレーションに自分を調和させること、より良い奉仕の人生を送ること、そして霊的向上をすることによって、その力を発揮することができるのです。あなた方は、世俗的になればなるほど、より低いバイブレーションに反応するようになります。反対に自己犠牲の思いが高まれば高まるほど、より高いバイブレーションに反応するようになり、内部の大霊(神性)が発揮されることになるのです。

――その内部の神性というのは、理性的な思考と行動をする自我意識が独立したものでしょうか。

いいえ、違います。今のあなたは物的身体を通して発現している精神(意識)によって支配されています。地上で生活している間は、そうなっているのです。それが催眠状態になると違ってきます。催眠術師は言わば看守のようなもので、牢のカギを開けて囚人を解放することができます。催眠術師が善意からそれ(催眠術)を行うのであれば、潜在している神性を刺激することになり、良いことをしたと言えるでしょう。しかし催眠術は、内部の獣性を刺激することもあるのです。いずれにしても、あなた方が地上で発揮している意識は、死後に発揮することになる大きな意識のほんの一部にすぎないことを知っておいてください。

――そういうことを聞かされると、いささか不満を感じてしまいます。

そうでしょう。しかし、不満に思うのはけっこうなことです。自惚れから生じる自己満足は進歩の妨げとなります。

――催眠術は霊媒能力を発達させるための手段になるでしょうか。また、あなたはそれを奨めますか。

それは、これまでも言ってきたことですが、いったん霊媒に指導霊が付くと、地上の催眠術師の出番はなくなります。霊媒が指導霊の霊力を受けるようになると、催眠術による影響力は及ばなくなります。霊媒能力の開発は交霊会から始めて、徐々に霊力の影響を受けていく方がよいと思います。

――催眠術を霊能力開発の近道とは考えておられないわけですね。

そうです。霊能力開発に“近道”はありません。これは魂とその能力に関わることです。地上人の霊的能力が今日の段階まで発達するのに何百万年もかかっています。これまで地上世界に不幸が絶えなかったのは、霊的な側面を無視してきたからです。霊に関わることは、慎重な養成と、ゆっくりとした成長が必要とされます。

シルバーバーチ、思想家“トマス・ペイン”を賞賛する

〔“昨日の悪者は、今日のヒーロー”――一九三七年、シルバーバーチはかの有名な思想家(社会改革者)トマス・ペインの生誕二百年にあたってこの言葉を引用し、次のように述べた。〕

本日は、かつて霊力に満たされて、抑圧されしいたげられていた人々の立場を向上させるために戦った一人の偉大な人間に賛辞を捧げる日です。彼は生前、社会から理解されることはありませんでした。彼は、悲惨な環境の中で力を失い、落胆している人々を引き上げるために苦闘しました。あらゆる不正と戦い、人間が本来、享受すべき恩恵について人々に教えようとしました。

当時の上流階級の人々は、彼(トマス・ペイン)を敵視しました。しかし彼は、霊力に突き動かされていたため、さまざまな困難に勝利しました。彼は人々から軽蔑され、拒絶され、迫害されましたが、その仕事は今も生き続けています。

どうか、そうした彼の生き方から教訓を学んでください。今、皆さんがしていることは、彼の仕事とつながっています。皆さんも人々から妨害され、敵意や反感を受けていますが、今皆さんが伝えようとしている真理は、当時、彼が人々に教えようとしていた真理と同じものなのです。あなた方もペインと同じように、霊的な、そして物質的な自由を獲得するための戦いにおいて、最大の味方であるはずの人間から反対されるようになるかもしれません。しかしあなた方の仕事は、今後も生き続けます。なぜならその仕事には、「大霊の認証」というシールが貼られているからです。

その神聖な仕事を進めるためには、善意を持った地上の人間が必要です。私たちは、現在の地上界のリーダーには期待していません。私たちは、階級や民族、人種や宗教を問題にしてはおりません。携わっている仕事が真の奉仕であるかどうか、人々の魂を引き上げ手助けをするものであるかどうかだけを見ているのです。

今日は、霊力に鼓舞されていた一人の社会改革者に、あなた方と私たちの世界から賛辞を捧げ、重要な教訓を学ぶ時です。地上人は、彼の仕事を単なる過去のものと考えていますが、私たちは、奉仕に対して情熱を抱いていた彼の魂を評価しています。彼は私たちの世界へ来てからも、奉仕を続けています。今も、大勢の大霊の子供たちの生活を改善するために全力で戦い続けているのです。

地上世界は奇妙な所です。昨日の悪者が、今日のヒーローになります。そして今日のヒーローが、しばしば明日の悪者になります。今の時代において軽蔑されている人間は、やがて訪れる時代には賞賛されることになるでしょう。

宗教家を自認する人間の視野は、何と狭いことでしょうか。彼らは、自分たちの宗教のまわりに教義の分厚い壁を築き上げています。そして自分たちの教義に同意し、壁に囲まれた狭い世界(教会)にやって来る人間以外は皆、拒絶します。彼らは、「壁の外には無神論者がおり、壁の内側には神によって選ばれた宗教的な人間がいる」と言います。

しかし、本当に宗教的な人間とは、人々を向上させるために戦い、悪を正し、障壁を打ち砕き、無知を追放し、飢えを駆逐し、スラムを根絶しなければならないと考える人のことです。そうした人こそが、真に宗教的な人間なのです。人類への奉仕(サービス)のために人生を捧げることだけが、宗教的な生き方と言えるからです。

私は今日まで、皆さんが知っておくべき霊的真理をシンプルな言葉で説いてきました。霊的真理に新たに付け加えるものは何もありません。今、地上人に必要とされているのは、霊性を発揮して、霊力をもっと容易に受け入れられるようにすることです。現在の地上人類は、あまりにも霊力を否定しています。

訳注――トマス・ペインは、英国生まれの思想家・著作家で、一七七四年に渡米。一七七六年に『コモン・センス』を著して、アメリカ独立の気運を高めた。フランス革命を擁護した『人間の権利』も、よく知られている。

霊とは何か

〔霊魂とは何か。科学者は霊魂の存在を認めないし、正統派を主張するキリスト教会はそれについて何も知らない。シルバーバーチは、霊魂とは大霊の分霊であると明言し、私たち人間と大霊は、その分霊によって常に結ばれていると言う。〕

――人間の物的身体は何によってコントロールされているのでしょうか。また、それはどこに位置しているのでしょうか。

私はそれがどこにあるのか知りませんし、見つけ出すこともできません。科学者たちは、肉体を解剖すれば隅に隠れている霊魂を見つけることができると思っています。あるいは霊魂は血管の中を流れていたり、どこかの臓器に隠れていると考えています。しかし霊魂は、肉体のどの部分にも存在してはいません。

――でも霊魂は、肉体の内部にあるのではないでしょうか。

霊魂は、内部にあるとか外部にあるとか言えるようなものではありません。霊魂はすべての場に充満しています。霊魂とは意識のことであり、肉体によって制約されるものではありません。それは無限の広がりを持つと同時に、進化の頂点にまで至ることができます。そして一瞬のうちに地上をめぐることができるものなのです。あなた方が霊的身体で遠い所に赴くとき、霊魂はどこにあるのでしょうか。こう言うと、あなた方は地上の距離感覚で想像するでしょうが、私たちにはそうした感覚はありません。霊魂によって制限される空間はないのです。

――「魂(ソウル)」と「霊(スピリット)」の違いは何でしょうか。

私は、それらをどう呼ぶかにはこだわりません。あなた方の辞書は私がつくったわけではありません。私の言う魂とは、内在する大霊のことです。霊とは、魂が顕現するための身体です。しかし他の人は、私とは違う意味でそれらの言葉を用いています。(シルバーバーチ自身も逆の使い方をしていることがある。シルバーバーチはここで「分霊」を「魂」と表現し、「霊体」を「霊」と表現している――訳注

――顕現するための身体という表現はともかく、霊(スピリット)とは何なのでしょうか。

霊とは、あなた方の言う神、すなわち大霊の一部であり、媒体を通して自己を顕現しつつ、より高みを目指してどこまでも向上していくものです。霊は、媒体を通して顕現することで初めて知ることができるものであり、顕現していない霊について知ることは不可能です。

訳注――「霊」という言葉には、いろいろな意味がある。例えば、人間の本質である「分霊」を「霊」と言う一方、死後の人間(他界者)のことを広く「霊」と呼んでいる。日本人は圧倒的にこの使い方が多い。また意味不明のまま「霊魂」という言葉を用いることもある。

ここでは質問者が、人間の霊的要素についての認識が乏しいところから質問しているため、シルバーバーチの答えも、それに合わせようとして矛盾が生じている。質問者と、それに答えるシルバーバーチとの間に用語の使用の点で混乱が見られ、錯綜した質疑応答となっている。さらに編者のオースティンが魂(霊魂)という言葉を用いて解説しており、いっそう理解しづらい内容となっている。

――良心(コンシャンス)とは何でしょうか。

良心は魂の一部であり、正しいことと間違ったことを区別します。良心はハカリのようなもので、あなた方はそれによって善と悪を判断することができるのです。良心とは、魂の指針なのです。

訳注――別のところでシルバーバーチは次のように述べている――「地上においても霊界においても、道徳的・精神的・霊的問題に関連してある決断を迫られる事態に直面したとき、正常な人間であれば“良心”が進むべき道について的確な指示を与えるというのが私の考えです。大霊によって植えつけられた霊性の一部である良心が瞬間的に前面に出て、進むべきコースを指示します。問題はその指示が出たあとから、それとは別の側面が出しゃばり始めることです。偏見がそれであり、欲望がそれです。良心の命令を気に食わなく思う人間性がアレコレと理屈を言い始め、何か他に良い解決策があるはずだと言い訳をして、しばしばそれを正当化してしまいます。しかし、いかに知らぬふりをしてみても、良心の声が最初に最も正しい道を指示しています。」

オーラとは

――オーラとは何ですか。

オーラは、身体が発するバイブレーションによって構成されています。一口にオーラと言っても多くの種類がありますが、地上世界で知られているのは肉体のオーラと霊体のオーラです。すべてのものがオーラを放射しており、意識のない物体でさえオーラを放っています。人間のオーラは身体が発するバイブレーションによって成り立っており、身体の状態を反映しています。オーラが見え、その意味を読み取れる霊能者は、オーラを放射している人の秘密のすべてが分かります。健康状態も分かりますし、魂と精神の状態や魂の進化の程度も分かります。オーラは開かれた本のように、さまざまな情報を示しています。

オーラには、あなたがこれまでに言ったこと、思ったこと、行ったことのすべてが刻み込まれています。それを読み取れる人には、上辺うわべのあなたではなくて、本当のあなたが分かるのです。この意味でオーラは、永遠の判事と言えます。

――あなたの説明には、霊体のオーラも含まれているわけですね。

はい、そうです。肉体のオーラには、健康状態とか気質とか習性など、肉体に関連した情報が示されています。肉体の状態によってオーラの色彩は、さまざまに変化します。

幽霊とは

――修道院の回廊を、かつてそこで生活していた修道僧が歩き回っていたという幽霊話をよく耳にしますが、その正体は何でしょうか。

幽霊の出没は霊の仕業によるものもありますが、今おっしゃったようなケースは、地上に残されているエーテル質の像(幽質の外皮)が、強い思念を受けて一人歩きをしているものです。しかし一般に「幽霊が出た!」と騒がれる場合は、いわゆる地縛霊の仕業です。

訳注――マイヤースの『永遠の大道』の一節に〈遺像〉または〈殻〉という項目があって、幽霊話について次のように説明している。

「遺像というのは地上の旅人が死とともに捨てる殻のことで、マントに譬えられないこともない。その遺像を再び活性化するのは(地上時代の)憎しみや感情である。背後にその種の怨念や観念があって、それがその遺像と結びつくからこそ意味もなく動き回るのである。つまり宇宙の遠い彼方に、地上時代に惨い死に方をした者、殉教した敬虔な修道士や修道女などの霊がいて、ふと当時のことを思い出したときなどに、その強烈な念が遺像に感応して一時的に生気を与えるというわけである。

その“ふと思い出す”のは、活発な霊的生活の中で一呼吸入れて休息しているときなどである。過去世の因縁の糸がたぐり寄せられて古い情景が浮かぶのであるが、あくまでも“ふと思い出す”程度のことであって、その当時の無念の思いはすっかり消えている。が、その一片の思念が地上に残した殻を動かし、かつての建物や土地をノソノソと歩かせるということが、現実に起こり得るのである。」

時間は実在するか

――時間は実在するのでしょうか。それとも人間がつくり出したものでしょうか。

時間は、人間がつくり出したものではありません。時間にはいくつもの次元があります。時計で計る時間は人間がつくったものですが、時間そのものは実在します。空間も実在します。ただ、あなた方の視点は限られているため、計測する時間と空間は正確ではありません。あなた方が他の視点からの知識を持つようになれば、その見方はより真実に近づきます。

精神障害と魂の進化の関係

――身体的障害のために、肉体が霊的自我の欲求とは正反対の行動を取ることがありますか。

はい、あります。精神障害者の場合がそうです。しかし、この場合は魂の進化に影響を及ぼすことはありません。物質界での表現が阻害されるだけです。魂の進化と、地上的制約の中での魂の表現は別であることを考慮しないといけません。

憑依の原因

――邪悪な地上人生を送った者が、死後にもまったく良心の呵責を感じないということはあるのでしょうか。

よくあります。何百年、時には何千年もの間、良心呵責を感じないままいることがあります。

――そうした霊が地上の人間に取り憑くということがありますか。

もし、両者の間に親和性(因縁)があれば、それは起こります。憑依現象というと一方的に霊の側に責任があると考えがちですが、実際は地上の人間に原因があることを知らないといけません。憑依されるような条件を用意しているのは人間の方なのです。調和のとれた生活、正しい心がけと奉仕の精神にあふれた生活、我を張らず、欲張らず、独りよがりにならない生活を心がけていれば、憑依現象は絶対に起きません。

植物に意識はあるか

――花などの植物にも意識があるのでしょうか。

ありますが、あなた方が考えているような意識とは違います。植物は、地上ではまだ知られていない種類のバイブレーションに反応する感覚を備えています。そうしたバイブレーションを偶然発見して、花や野菜などの植物を上手に育てることができる人がたくさんいます。

訳注――そうした発見から霊的次元にまで踏み込んでいる人としては「フラワー・レメディ」のエドワード・バッチ博士が筆頭であろう。花々の特殊な癒しの成分を霊感でキャッチし、その抽出に成功している。それがシルバーバーチ霊の出現時期と重なることも意義があるように思える。バッチ博士の思想の根幹を次の一文から読み取っていただきたい。(要約)

「現代医学の失敗の主な原因は、原因ではなく結果にばかり目を向けてきた点です。何世紀もの間、病気の本質が物質主義という仮面で隠され、病気の根源と闘わなかったために、その荒廃がどんどん広がっていきました。現在の物質主義的な方法では、病気を治したり根絶させたりすることはできません。病気の根源にあるものは物質ではないからです。

病気は本質的に魂と意思が争った結果ですから、霊的な面と精神的な面の努力なしでは、根絶されることは決してありません。身体だけにどれほど努力を重ねてみても、表面的に癒すことしかできません。原因がそこに存在しているわけですから、また違った形でぶり返してきて、その存在を見せつけます。

病気はたいへん残酷ですが、反面、恩恵を得るところや役に立つところがあります。病気が正しく解釈されれば、それによって自分自身の重大な欠点を知ることができます。的確に治療をすればその欠点をも取り除くことになり、前にもまして健康で素晴らしい人間になることができます。苦しむことによって他の方法では知ることのできなかった改めるべき点が分かり、それを治すことができます。そうしていかなければ、決して原因を根絶することはできません。」

(『バッチ博士の遺産』バッチフラワー友の会刊)

神智学の間違いについて

――神智学では、人間は死ぬと神聖なる根源的なもの(Divine Principle)が肉体とアストラル体とメンタル体から抜け出ると言います。そしてそれが抜け出たあとの肉体やアストラル体やメンタル体は、空っぽの貝殻のようになって地上の大気中をうろつくことになると教えています。神智学では、地上の霊媒を通しての通信はこうした貝殻のようなものからもたらされるとし、死者の人格を真似た自然霊によって発生する現象であると説明しています。これについて、あなたはどのように答えますか。(神智学の創始者であるブラヴァッキーは、こうした論法でスピリチュアリズムの霊界通信を否定しようとした――訳注

人間の肉体から大霊の一部(分霊)が分離し退くと、肉体の役目は終了し、分解して大地に戻ることになります。肉体から離れた分霊は霊界に入りますが、霊界では進化にともなって次の段階に進んでいくようになります。大霊の分霊がアストラル体(幽体)から抜け出ると、アストラル体の役目はそこで終わり、幽質素に分解されます。

占星術は当てになるか

――占星術というのは当てになるのでしょうか。

宇宙のあらゆる存在物は振動しており、すべてのバイブレーションは外部へ向けて絶え間なく放射物を放っています。その放射物は、宇宙間に何らかの影響を及ぼしています。そうしたバイブレーションの背後には大霊の法則がありますから、それを知ることは少しは役に立つでしょう。

――霊界から送られてくるメッセージと、占星術による予言との間には共通するものがありますが、何か関係があるのでしょうか。

真理の顕現の仕方は無限です。真理とは大霊のことだからです。しかし真理は人間を通して顕現するものであるため、人間の進化の程度によって顕現の仕方が異なります。真理というものは、純真な気持ちでなければ修得できません。長たらしい言葉や目新しい言葉で解説しなくてはならないものは真理ではありません。言葉を飾ることは、しばしば無知を隠すための仮面になります。

シルバーバーチの祈り

〔シルバーバーチの霊言集が祈りの言葉を欠いていては、完全なものとは言えないであろう。毎週金曜日の夜に開かれる交霊会は、まずインボケーション(会の成功を願う祈り)で始まり、ベネディクション(励ましの言葉)で閉会となる。ここではその典型的なものを紹介しておく。〕

インボケーション

願わくば、本日もこの交霊会において、霊的世界に属する摂理の働きについて明らかにすることができますように……。大霊について、大霊とあらゆる生命現象との関係について、また宇宙に存在するすべての大霊の子供たちとの関係についての理解を、より明確にすることができるように祈ります。

あなたは幾世紀もの間、誤解され、曲解され、限りある存在とされてきました。そこで今、私たちは、あなたを完璧な摂理として説き明かそうとしております。あなたは、生命のあらゆる顕現をつかさどっておられます。宇宙に存在するすべてのものは、あなたの霊力の働きかけがあればこそ、維持されているのでございます。あらゆる創造物が、あなたの摂理に賛辞を捧げております。最も力を持つ者も力なき者も、強者も弱者も、小鳥も花も樹木も、風も海も山も丘も、日光も雨も嵐も稲妻も、一つの例外もなく、すべてに生命の大霊であるあなたが顕現しておられます。

私たちは、あらゆる存在があなたのイメージの中で創造されていることを示そうと努めております。あなたは、すべての被造物を通して顕現しておられます。あなたが内在すればこそ万物は動き、呼吸し、生きているのであり、すべてがあなたの中に存在しているのでございます。

いかなるものも、あなたとあなたの子供たちとの間を引き裂く力は持っておりません。なぜなら、すべてのインスピレーション、すべての真理、すべての叡智、すべての啓示、すべての知識が蓄えられている無限の貯蔵庫は、大霊の子供たち一人ひとりに開かれているからでございます。向上心と謙虚さと奉仕精神にあふれ、強大な霊力(霊団)の道具になることを願う子供たちは、その貯蔵庫を自由に活用することができるのです。

私たちは、すべての人間の魂に秘められた潜在能力を明かそうとしております。私たちは、地上の子供たちが、無知から閉じ込めてしまっている潜在能力に気づき、物質の障壁を突き破って霊的高みを目指す日々の努力の中で、その能力を自由に発揮できるようになるのを待っているのです。

私たちは、あなたのすべての子供たちが地上に生を享けた目的を理解し、満ち足りた素晴らしい人生を送ることができるように願っております。それによって子供たちは、あなたが用意してくださった豊かさと美しさと喜びを自由に求め、自分のものにしていくことができるのでございます。

私たちは、あなたが子供たちに近づき、子供たちがあなたに近づくことができるように、立ちはだかる障害を取り除き、あらゆる制約と束縛を払いのけようと努めております。地上の子供たちが、親なるあなたの存在を知り、奉仕に励む中であなたを顕現していくことができるように働きかけているところでございます。

ここに、あなたの僕インディアンの祈りを捧げます。

ベネディクション

皆さんはこれまで、私たち霊団の者の姿を見たり、直接声を聞いたりしたことはありませんが、とても身近な存在であることを知っていただきたいと思います。

私たちは皆さんのすぐそばにおります。私たちと皆さんとの間には、愛の絆があるからです。愛があればこそ、私たちは皆さんのために奉仕しています。援助を必要としている人々――身体的に弱っている人、生きる気力を失っている人、挫折している人、人生の意義を見失っている人、これまでの宗教では満足を得られず、真理を渇望している人、魂は自由を求めながらも、教義と信条に縛られ、それに対抗する他の宗派との狭間はざまで息も絶え絶えになっている人――そうした人々のために、皆さんを通して献身しているのです。

私たちが説く教えは、大霊の無限の真理であり、何ものにも制約されることはありません。真理はすべての人々のためのものであり、それを独り占めできる人間はいません。大霊の真理は、全人類を愛で包もうとするものなのです。

願わくば、皆さんが自分を取り巻いている強大な霊力、絶え間なく地上界に注がれている偉大な愛、皆さんを通して顕現しようとしているインスピレーション、明らかにされることを待ち望んでいる真理、地上を明るく照らそうとしている叡智の存在に気づくことができるように祈ります。

そして奉仕の仕事を通して宇宙の強大な霊力を理解し、すべての存在の背後に控えている偉大なる力である大霊と一体となることができますように。大霊の摂理に調和し、大霊の叡智に満たされて働くことができますように。皆さんが大霊の僕である私たち霊団の道具となり、全人類のために奉仕されることを祈ります。

大霊の祝福のあらんことを……

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