4章 スピリチュアリズムが目指す新しい世界
〔人類が霊的法則を学び、その指示に従って生きるようになったときの世界は、どのようなものであろうか。新しい世界は一人の独裁者、一つの政府、あるいは国際連盟のような組織によってコントロールされる性質のものではないことは明らかである。人間一人ひとりによる努力の結果として誕生するものであろう。そのときの喜びがいかなるものであるか、それをシルバーバーチに語ってもらおう。〕
地球人類は今まさに危機の真っ只中にあります。何事につけ誕生には苦しみがともなうものですが、新しい秩序の誕生にも大きな苦しみがともないます。その誕生が近づくにつれて苦痛も増大してきます。
しかし間違いなく言えることは、新しい世界の種子がすでに地上界に根付いているということです。既得権力の座に安住している者たちがいかなる策を
これから地上には、いくつもの大きな変化が生じます。崩壊や多くの大変動があるでしょう。皆さんには暗黒と苦難の時代の到来のように思えるかもしれません。「たいへんな時代になった」と、おっしゃるかもしれません。しかし、そうした変動の背後には、地上世界を進化させようとしている大きな力が存在しているのです。
地上世界のための仕事に従事している私たちの多くは、より高い界層の霊たちによって、いつの日か地上はこうなるという未来像を見せていただいております。私たちは、その計画を受け入れる能力のある地上の同志に伝え、仕事を行っていくように彼らの心を鼓舞しているのです。私が見せていただいた未来像に比べると、現在の地上世界はとても醜く見えます。が、私には地上世界はこんなにまで立派になり得るのだ、こうでなければならないのだ、ということが分かっています。あとは時間の問題です。
そのうち、政治も宗教も科学も学問も、ある一つのものの側面にすぎないことが理解できる新しい人類が現れることでしょう。そのときは苦悩や嘆きや恐れ、喪の悲しみや不幸が追放され、笑顔と笑い声が満ちあふれる世界となるでしょう。しかし、現段階の地上世界で最も偉大な人間とは、他人の悲しみを取り除き、人生をより良くしてあげられる人のことなのです。
これまで人間は、何か良いものを手に入れると、それを他人のために使用せずに独り占めしようとしてきました。そしてそうした間違ったあり方ゆえに、いずれ崩壊するに違いない社会システムを構築しようとしてきたのです。しかし大霊からいただいた資質を発達させ、それを他人のために役立てる方向で使用するようになれば、永遠なるものを基盤とした社会システムが構築されるでしょう。
私たちが説いている教えは決して新しいものではありません。霊的な視野を持つ人々がずっと説き続けてきた、古くからある真理です。それをほとんどの人間が顧みようとしなかったために、私たちが改めて説き、大霊の教訓を学ぶように導く必要性が生じたのです。人類は自らの間違った考え方による愚行から、地上界を破滅の寸前にまで追いやっています。
今こそ人類は、大霊とその摂理へ回帰しなくてはいけません。いや、すでに回帰しつつあります。私の目には、ゆっくりとではありますが、大霊の摂理が地上界に具現しつつあるのが見えます。
何よりもまず人類が学ばなければならないのは、大霊の
あなた方は、既得権を打破しなければなりません。摂理は完璧です。あなた方が自分のことを忘れて他人のために奉仕しようとするとき、あなた方を通して大霊が働くのです。それはあなた方だけでなく、すべての人間に言えることです。そんなことは無理ですとおっしゃるかもしれませんが、私は可能だと申し上げます。それが人間としての唯一の正しい生き方だからです。摂理は完璧であり、ごまかすことはできません。あなた方は摂理を学び、それを実行に移さなくてはいけません。
長いあいだ人類は、本当は取り壊すべきものを構築することに自由意志を行使してきました。しかし今、ゆっくりと地上の闇に大霊の光が射し込み、混乱と無秩序の中から新しい世界が生まれつつあります。そこにはもはや、不平等も不正もなく、持つ者と持たざる者といった差別もなく、大霊からの
そうした新しい世界の夜明けを、どのような言葉で呼んでもかまいません。それは大霊の力によって成就する世界であり、新たな喜び、新たな人生、新たな幸せを地上にもたらそうとする大霊の意思に忠実な人間の努力によって、これ以上、霊界へ“出来損ない”(死後に「地縛霊」となってしまうような人間――訳注)を送り込まなくなる世界です。
時として、その努力が無駄に終わっているように感じられるかもしれません。しかし常に、世界中のあらゆる所でさまざまな人々が、自覚するしないに関わりなく霊界の道具として新しい世界の夜明けのために活用されているのです。大霊は、我が子が破滅の道へ向かうのを黙って見ていることはできません。私があなた方に繰り返し援助をお願いするのは、人類の悲劇に終止符を打つためです。新しい世界を築くための努力を“政治”と呼ぶかどうかは、私には関心はありません。私たちの仕事は、これからも続いていきます。霊界と地上界が協力して進めていく仕事です。もはや、それを阻止することはできません。
そうした私たち(霊界と地上界)の努力によって、物質界の至るところで大きな仕事が成し遂げられていることを誇りに思っています。地上の暗闇に光が射し込み、悲しみに暮れていた心に喜びがもたらされるようになっています。まだわずかではありますが、無知に代わって知識が存在するようになっています。私たちは、生きる気力を失った人々を助け、人生に疲れた人々に勇気を与え、進むべき道を見失った人々を導いています。そして地上の同胞のために働いている人々を鼓舞し、大霊とその子らのための仕事をするすべての人間の背後には、強力な霊の大軍が控えていることを理解させようとしているのです。
私はまた、皆さんが愛し、皆さんを愛している霊界の人々をこのサークルに連れてこられたことを嬉しく思っています。あなた方は、彼らを失ったのではありません。死は、愛と友情で心が一つになっている者たちの間を引き裂くものではなく、両者は変わらず結ばれていることを、これまで以上に実感することでしょう。
私たち霊団の影響力がどれほど拡大しているかを、あなた方にお見せできないのが残念です。私たちは障壁を壊し、障害物を取り除き、知識をもたらすために働いています。地上世界が必要としているものは、人類を霊的に、精神的に、そして物質的にも自由にしてくれる単純な真理です。ご存じのように私たちは、ただ奉仕するためだけに歩んでいます。無償の奉仕、それのみが地上人類を救うことになるからです。
ここで改めて申し上げておきたいのは、私はただの“道具”にすぎないということです。私は、人間は全生命を生み出した大霊の一部であるという単純な霊的真理をあなた方に悟らせたいと願っている多くの霊たちの一人にすぎません。大霊はあなた方の内部に存在しています。あなた方は神聖なる賜物を与えられており、その潜在的神性が宿っているからこそ大霊の恩寵にあずかる資格があるのです。その神性を妨げる障害物や慣習は、一掃しなければなりません。私たちの仕事は魂と精神を自由にするだけでなく、身体的にも自由にすることを目的としているのです。
そうした仕事に私たちは献身してきました。それが私たちが成し遂げようとしてきた奉仕(サービス)なのです。私は大霊の道具として、人類を救うことになる真理を皆さん方に届けるという特権にあずかったことを光栄に思っています。私が皆さんと一緒に奉仕の仕事に携わってきて何年かになりますが、その仕事はこれからもまだまだ続きます。地上界の皆さんと霊界の私たちの協力によって、地上人類がどうしても必要としている救いをお届けしてまいります。あなた方はすでに知識を持っています。霊的真理を手にしています。真理を知った者には、それを実践に移す責任がともないます。その責任を果たしてこそあなた方は、より優れた大霊の道具になれるのです。
あなた方が手にしている真理に疑念が向けられたときは、それには「神から授かった真理」の刻印が押されていることを常に思い出してください。私たちは、あなた方人間の理性だけに訴えています。私たちがお届けするメッセージは、あなた方の品位を落としたり、知性を
霊的真理の重要性を理解している人たちが一致団結して、物質界に立ち込めている無知の霧を晴らすためにその力を使用すれば、どれほど大きな仕事ができることでしょうか。善意と救済と奉仕の勢力(霊界の軍団)は常にあなた方の味方であることを自覚して、自信を持って前進してください。
私たちの前途には奉仕(サービス)の分野がいくらでも広がっています。私たちの行く手には、古い慣習を捨て、過去の信仰に頼らず、懐疑に耐え得る真理を求めながらも、どこへ向かえばよいのか分からずに迷っている多くの人々を救うことができるという喜びが待っているのです。そうした人々にこそ霊的真理と霊的摂理をお届けするのです。内部に宿る霊的資質に気づかせ、自分たち自身も大霊であるということを理解させてあげるのです。それによって彼らは、激怒し復讐心に燃える神の前にひれ伏すような卑屈な信仰を捨て去るようになります。
大霊の子らのために奉仕しようと努力している地上の同志の背後には、協力関係を求める巨大な霊的勢力が控えていることを知っていただきたいのです。そして霊的真理を武器として、あらゆる迷信、あらゆる邪悪と戦い、尊い真理の光で地上界を照らしていただきたいのです。
私たちは地上に霊力をもたらします。地上の同志を鼓舞し、導き、心の支えとなります。飢えた魂にエネルギーを注ぎ、
人間の側に理解力と受容力が備わっていれば、それに応じて霊力で満たしてあげることができます。私たちは、教会に属していようといまいと、どこかの宗教に属していようといまいと、科学者であろうと唯物論者であろうと哲学者であろうと、人類の霊的向上のために貢献したいと願うすべての人々との間に協力関係を築きたいと切望しているのです。