(3)スピリチュアリズムとニューエイジ

一九六〇年以降、米国では新しい精神復興の動きが活発になってきました。そして“ニューエイジ”といわれる思想的潮流をつくり出すことになりました。そこでは従来のキリスト教的世界観・人生観に代わって、アジアの宗教や思想が注目され、“アジア主義”といわれる一つの流れが形成されました。古代インド思想・ヨーガ・各種瞑想法・日本の禅・中国のタオなどが、多くの欧米人の心をつかみました。最近では、米国西海岸から始まった「チャネリング(霊界通信)」が、爆発的な広がりを見せています。

ここではニューエイジに対するスピリチュアリズムの見解を見ていきます。

ニューエイジの本質と、スピリチュアリズムとの関係

ニューエイジの中には、“スピリチュアリズムは古いもの・時代遅れのもの”と言う人間がいます。しかし、これは霊界の実情を知らないところからの誤った発言です。なぜならニューエイジという新しい精神的動向は、霊界主導による人類救済活動の一環として引き起こされたものだからです。従来“スピリチュアリズム”と呼ばれてきた地球人類救済計画が、アメリカで“ニューエイジ”の名前で展開しているにすぎません。つまりスピリチュアリズムもニューエイジも、ともに高級霊によって組織的に興されたものであり、同じ主役・主導者による活動なのです。その意味でニューエイジは、スピリチュアリズムの一部分と言えます。

こうした点から考えると、ニューエイジに関わる人々が、自分たちの主導者である高級霊界についての自覚を持っていないことは決定的にマイナスとなります。ニューエイジの本質は、霊界を挙げての「地球人類救済運動」であり、人間サイドから発生した単なる精神復興運動ではありません。現在展開しているニューエイジの主役は、霊界の高級霊たちである、ということが一番重要な点なのです。

ニューエイジの最終目的は「霊的真理の普及」

ニューエイジの真の目的は、単なる精神向上や精神革新にあるのではありません。精神レベルでの変革を超えて、人類を霊的レベルの変革にまで導くことが本来の目標なのです。

そのためには地上に「霊的真理」をもたらすことが必要となります。霊界側は、どこまでも霊的真理の普及を目標としているのですが、大多数のニューエイジャーはそのことを知りません。ニューエイジの多分野にわたる動きは、地上人に霊的真理を受け入れさせるための準備、あるいはスピリチュアリズムの“底辺拡大化”という意味を持っています。ニューエイジを通しての霊界からの働きかけは、あくまで「最高純度の霊的真理の普及」という一点に向けられているのです。

しかし現時点でのニューエイジは、本来の目的からはあまりにも懸け離れていて、多くの問題点を抱えています。

チャネリングの使命と、さまざまな問題点

ニューエイジにおいて、霊界側の働きかけが一番集中しているのが「霊界通信(チャネリング)」です。チャネリングに対する霊界からの集中的な働きかけは、アメリカ国内に数多くのチャネラー(霊通者・霊媒)が誕生した事実に示されています。霊界の意図をストレートに伝えるという意味で、チャネリングこそニューエイジの中心的位置を占め、ニューエイジを牽引する立場に立たなければなりません。

しかし現時点での米国のチャネリング界には、非常に多くの問題があります。そのためチャネリングは、ニューエイジ運動の中心的立場に立って、ニューエイジ全体をリードしていくことができずにいます。

チャネリングの問題点の一つは、霊界から通信を受け取る地上の人間(チャネラー)に関してです。チャネラーの数だけは増えても、その質がきわめて低いということです。その結果、あまりにも低俗なチャネリング・子供騙しのチャネリングが氾濫しています。なかには良質のチャネリング(霊界通信)もありますが、その大半が人類の霊的成長にとって何のプラスにもならない低次元のものなのです。

たとえ霊界側が優れた内容を伝えたとしても、霊媒(チャネラー)がその一部だけを誇大解釈したり、地上人の好みに合った部分だけを受け取るとするなら、メッセージの本質を取り違えることになってしまいます。そしてさほど重要性のない霊的知識が、さも中心的真理であるかのように取り扱われることになってしまいます。

霊界通信(チャネリング)の多くが、低級霊・邪悪霊のイタズラやカラカイであったり、霊媒(チャネラー)の作り話であったりします。低級霊のつくり上げた霊的スクリーン(映像)を自分の前世だと思い込み、ありがたく受け入れているようなケースがあまりにも多いのです。

心霊現象や霊界通信には、いつの場合でも“ニセモノ”が付きまとい、本物はごく少数にすぎないという現実があります。そうした玉石混淆こんこうの中から、厳しい検証プロセスを経て一部の本物が見い出されるのです。そしてその「本物の霊界通信」だけが人類の霊的成長に寄与することができるのですが、ニューエイジにおけるチャネリングには、いまだ検証のメスは入れられておりません。

またチャネリングが“金儲け”と結びついていることも大きな問題です。初めはまともであったチャネラーも、この世の欲望に翻弄ほんろうされるうちに、いつの間にか低級霊・邪悪霊の通路へと入れ替わってしまいます。霊との交信には、常に危険な誘惑のわなが付きまとっています。そして多くの霊能者がこの物質的誘惑・金銭的誘惑にいとも簡単に乗せられ、堕落してしまうのです。「霊能力」という神からの贈り物は、本来“人助け”のために与えられたものであり、無償の奉仕として活用すべきものなのですが、大半の霊能者はそれを悪用しています。

このように現在の“チャネリング”にはさまざまな問題があり、このままではいずれ内部崩壊の道をたどらざるをえません。

ニューエイジの問題点

ニューエイジでは、ひんぱんにセミナーを開いて啓蒙・普及活動をしています。しかし霊的真理を受け入れるには、その人にふさわしい時期というものがあります。また人間の成長は本来、自己努力を通してしか達成されません。こうしたことを考えると、セミナーに頼り過ぎた普及方法には大きな問題があります。ニューエイジのセミナーの多くが、単なる金儲けの手段に成り下がっているという現実は、この問題をさらに深刻にしています。

さて、ニューエイジに共通して見られる思想傾向の一つが「自己愛・自己の許し」の強調です。そもそも自己愛・自己の許しとは、精神的な疾病状態に陥り、利他愛を実践できない人間に対して“心理的処方箋”の意味合いで述べられたものにすぎません。ところがニューエイジでは、それが中心的思想として流行してしまいました。「自己を愛し、自己を許す」という言葉は、確かに聞こえがよく優しい響きを持っています。いかにも新しい真理であるかのように思われます。

しかし霊的成長のための霊的真理は、どこまでも「利他愛の実践」と「自己犠牲」です。“自己愛”を優先的に主張する在り方は、真理をゆがめることになってしまいます。当然、それは霊的法則に合っていません。「利他愛」のみが霊界での愛そのものであり、自己愛を真っ先に主張するような霊は一人もいないのです。

すべての人間は「神の子供」であり、神から愛を受け、宇宙的価値を付与されています。そして永遠に霊的成長の道をたどる存在として造られています。また誰もが、常に守護霊によって深い愛を与えられています。こうした霊的事実を知れば、自分に価値がないと思うことは明らかに間違っています。 霊的真理を知れば、おのずと自分に価値があることを自覚するようになります。もし自己を卑下するような人間がいるとするなら、その人はまだ霊的真理を本当には理解していない、ということなのです。

さらなる問題は、ニューエイジでは、苦しみの体験の重要性をほとんど認識していないということです。地上人生は霊的成長のための短い訓練期間であり、地上世界は困難や障害に対する葛藤を通して霊的成長に必要な基本的体験を積み、霊界への準備をする場所です。そうした広い視野に立てば、地上での苦しみは何も敬遠すべきものではありません。楽しい人生だけを優先的に求める姿勢は、霊的成長の道から足を踏み外させることになります。

また背後の霊の導きに対する意識の乏しさも、ニューエイジの問題の一つです。ニューエイジでは、絶えず霊界からの働きかけによって守護され導かれている事実を、ほとんど認識していません。背後の霊の存在を正しく理解することによって、地上人は謙虚になり、余分な緊張をしたり自力主義に陥らないようになります。背後の霊たちの導きを信じ委ねることで心の底から安心し、ゆったりとリラックスして人生を歩めるようになるのです。しかしニューエイジには、この大切な事実に対する考慮が全くと言ってよいほどありません。

ホーム

はじめての方へ

関連サイト

サイト内検索

トップ