(1)スピリチュアリズムと地上の宗教との違い

最初に重大な結論を述べることになりますが、現在地上に存在するすべての宗教は、遠い将来、必ずスピリチュアリズムに吸収されていくようになります。以下では、その理由を列挙していきます。それを通してスピリチュアリズムが、地上に存在する他の宗教とは本質的に異なるものであることを理解していただけるものと思います。

“主役”の違い

まず第一に、スピリチュアリズムと他の宗教では、それぞれの主役が全く違うということです。『スピリチュアリズム入門』でも述べましたが、スピリチュアリズムは高級霊界の計画によって始まった大規模な「地球人類救済プロジェクト」です。ここで重要な点は、その出発がすべて霊界側からなされている、ということです。そして現在も霊界を挙げての組織活動によって、地上に向けての働きかけがなされています。地上のスピリチュアリストは、こうした霊界の大軍団の一員として、また霊界の道具として働くことになります。

それに対して地上の教理宗教は、その大半が“教祖”といわれる一人の人間から出発しています。そして教祖を中心とする組織を形成して、活動を展開してきました。そこでの宗教活動は、地上人の思惑や判断によって進められてきました。ゆえにその主役は、どこまでも地上の人間ということになります。

このようにスピリチュアリズムと地上の宗教では、その“主役”という点で根本的に違っています。スピリチュアリズムの主役が高級霊界という壮大なグループ言い換えれば霊界の上層のすべて)であるのに対して、地上の宗教は地上の人間が主役なのです。スピリチュアリズムは、計画の立案と現実の活動のすべてが、組織化された霊界の高級霊たちによってなされています。

――地上の宗教の中には、今述べたような教理宗教教祖・教義・教団を有するもの)以外に、アニミズムに代表される自然崇拝宗教があります。そこには教理宗教のような教祖はいませんし、教義もありません。こうした“自然宗教”は、人間を超越した霊的存在や神秘的霊力をおそれ敬い、儀式がその宗教行為の中心となっています。日本の神道もこれに類する宗教と言えます。

“真理の次元”の違い

スピリチュアリズムと地上の宗教との二つ目の違いは、そこで説かれる真理の質(次元)です。スピリチュアリズムを通して地上に届けられる真理は、高級霊界において等しく認められているものです。霊界における常識というべき霊的知識が送られてくるのです。

さて、ここで重要な点を確認しておかなければなりません。それは霊界人の霊的世界に対する認識能力は、地上人とは比べものにならないということです。天と地ほどの差があるのです。私たち地上人は毎晩、睡眠中に肉体から離れ、霊界にいる他の霊と交わったり霊界のいろいろな所を見学していますが、そうした自分自身の体験さえも覚えていないのが実情です。まして出生前に霊界で、これからの再生人生についてあれこれ考えをめぐらせて生まれてきたという事実を記憶している人間は、一人もいません。それが私たち地上人の霊的認識能力の実際であり限界なのです。

この一例から分かるように、地上人が認識できる霊的事実はきわめて限られています。それは地上の人間が“脳”を介して「霊的意識」を自覚するようになっているからです。脳は霊的意識を受信する物質的器官ですが、霊的意識のほんの一部分しか伝えることができません。そのため人間は、霊的意識のほとんどを自覚することができないのです。地上人(宗教者・芸術家・音楽家・科学者など)の中には、霊界からのメッセージを“インスピレーション”という形で受け取っている人間もいますが、それさえ本来の内容のごく一部分にすぎないのです。

これと同じで、地上の宗教の教祖がいかに優れた霊能力を持っていたとしても、その人間が受け取ることのできる霊的メッセージは、非常に限られたものになります。地上人が脳を介して知り得る霊的知識は、霊界の一般人が常識として知っている知識のほんの一端にすぎません。そのわずかなインスピレーションや霊的知識が、素晴らしい悟りとして地上人に受け入れられてきたのです。こうしたことを考えてみると、地上の宗教の中に霊的真理が含まれているとしても“教祖”という一人の人間を通してのものであるかぎり、初めから限界があるということなのです。

それに対してスピリチュアリズムの場合は、霊界のすべての高級霊によって共通に認識されている霊的知識が、ストレートに伝えられるようになっています。高級霊ともなれば霊的事実に対する認識能力は、地上の霊能者の何百、何千倍にも及びます。そうした高級霊たちが何億、何十億人といて、彼らが等しく受け入れている真理(霊的知識)が、霊界通信を通して地上にもたらされるのです。地上の宗教の教義と次元が違うのは当然です。

実際にスピリチュアリズムの真理体系と地上の宗教の教義を比較してみれば、その違いは一目瞭然です。高級霊によって明かされたスピリチュアリズムの真理は、いずれの宗教と比較しても、はるかに優れています。スケール・総合性・深さ・純度・論理的一貫性・実用性・多分野への応用性――どの点をとっても卓越しています。しかも、それが誰にでも理解できるようにシンプルに、分かりやすく説かれているのです。

スピリチュアリズムによって示された「霊的真理・霊的知識」は、これまで地上の宗教を通して部分的にもたらされてきた知識を包括・総合するものとなっています。スピリチュアリズムの「霊的真理」は、地上のすべての宗教の頂点に立っています。したがってスピリチュアリズムの真理を基準として、これまでの地上の宗教の教義の、どの部分が正しくて、どこが間違っているのかを適確に判断することができるようになるのです。

“真理普及の方法”の違い

スピリチュアリズムと地上の宗教との三つ目の違いは、霊的真理の普及(伝道)の方法です。地上の宗教は、教団の勢力拡大をはかるために、激しい宣伝や強引な伝道をします。そして無理やり強制的に、相手に真理を押しつけます。一方、最近では、現代文明の利器(テレビなどのマスメディア)を活用した大衆伝道が活発に行われています。

しかしそうした伝道方法は「霊的成長」という点から見ると、きわめて不自然な方法であり、摂理に一致していません。強引に人数を増やそうとすると、選民意識や特権意識を植えつけたり、(ばちがあたるといった)恐怖心や人間の弱みにつけ込んだ洗脳的手段を取らざるをえなくなります。これが今日までの多くの宗教が行ってきた伝道の実態です。そこにあるのは、もはや魂の向上や救いとは無関係な“宗教組織のエゴ”だけなのです。

では、スピリチュアリズムにおいては、どのようにして霊的真理を普及しようとしているのでしょうか。スピリチュアリズムの伝道とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。結論を言えば――「霊的真理を受け入れることができるレベルにまで霊的成長をした人間の一人ひとりに、順に真理が手渡される」という形で進んでいきます。地上人が苦しみや困難を通して一定の霊性レベルにまで成長すると、ごく自然な形で霊的真理と出会うような道が展開します。背後の霊の導きによって真理との出会いの機会が与えられるのです。

このようにしてスピリチュアリズムは、霊界の高級霊の強力な働きかけのもとで世界中に普及していくことになります。そして時期のきた人間が、一人また一人と霊的真理に出会い、霊的に覚醒して新しい“霊的人生”を歩み出すようになっていきます。「先に真理を知った者が、それを他の人に伝えていく」というごく自然な形で、霊的真理は広まっていくようになります。静かではあるけれども着実に、そして後退することなく全世界に普及していくようになるのです。

真理の次元においても、人類に対する貢献度・救いという点においても、スピリチュアリズムに匹敵するものがない以上、それは時代とともに必ず世界の隅々まで波及していくようになります。もちろん人間には“自由意志”が与えられているため、真理普及の時期が早くなったり遅くなったりする可能性はあります。しかしスピリチュアリズムの主役・推進役が宇宙で最強の高級霊の大軍団である以上、遠い将来には、間違いなくスピリチュアリズムの霊的真理は世界中に普及することになります。そして地球人類共通の人生の指針・生き方の常識になっていきます。

霊的真理普及の影響は、個人や宗教の領域だけにとどまらず、地上のあらゆる分野(政治・経済・国際関係・科学・医学)にまで及んでいきます。それにともない地球上に悲劇を蔓延させてきた元凶である「物質至上主義」と「利己主義」は消滅していくことになるのです。

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