(1)地縛霊の存在

死の自覚を持てない地縛霊の存在

地上でつくり上げた魂のレベル(霊格)が、その人間の死後の状態を決定することになりますが、地上人生をただ物欲や肉欲の追求だけで終えた者は、霊的成長がなされないどころか肉体本能性の染みついた魂をつくり上げてしまいます。

そうした人間は霊界に入ってからも「死の自覚」を持てず、いつまでも“地上で生きている”と思い込むようになります。そして地上時代と同じように、物質的・本能的欲望を追求し続けます。地上の同類の人間に働きかけて間接的に物質的快楽を味わおうとしたり、地上人をそそのかして悪の道に誘い込もうとします。

このように死後も地上的意識を取り除くことができず、地上に執着して悪事を重ねる未熟霊を地縛霊と言います。“地縛霊”とは――「自分の“死”を悟ることができず、意識が地上に縛られたまま離れられなくなっている霊」という意味です。なかなか地上的意識を拭い去れず、死後も物質世界に自分自身を縛りつけている霊のことなのです。地縛霊は霊的成長レベルが低いため“低級霊”と呼ばれたり、悪事を重ねることから“邪悪霊”と呼ばれます。

この地縛霊の中で特殊なケースが、地上時代の間違った宗教的信条例えば、「死後は再臨の時まで墓で待ち続ける」といった考え)を強く持ち続けたまま他界した霊たちです。このような地上の宗教の狂信者たちは、死後も自分の死を悟ることができず、地上時代の宗教を信仰し続けます。そのためいつまで経っても霊的自覚が芽生えず“地縛霊”になってしまうのです。スピリチュアリズム入門』の「死の直後の様子」を参照)

地縛霊の住む場所

こうした地縛霊(低級霊・邪悪霊)たちが集まるのは、いまだ物質的なバイブレーションが残っている地上に近い幽界の下層に限られます。特に地上人の物欲や肉欲が渦巻く場所にたむろして住み着くようになります。

地縛霊の住む場所は、霊界全体の中ではごく狭い領域に限られます。地縛霊は霊界の上層界に入って行くことはできないため、その力が及ぶのは幽界下層と地上界だけです。したがって地縛霊の存在は、霊界全体から見れば、それほど大きな問題とは言えません。

地縛霊の地上人への影響力

しかし幽界の下層に住む地縛霊は、相当な数にのぼります。しかも地縛霊は物質性を多く持っているため、地上に強く働きかけることができるのです。それに対して物質性を持たない高級霊は、鈍重な地上世界には直接働きかけることが難しくなります。地上近くに降りると、その鈍重さゆえに自由に身動きをすることができなくなってしまいます。また高級霊が地上人に向けて働きかけをしようとすると、低級霊・邪悪霊が妨害に出てきます。そのため高級霊の勢力は、低級霊・邪悪霊の妨害を取り除いたり防いだりしながら地上人に働きかけることになります。

さらに厄介なことがあります。それは肉体に包まれている地上人は、高級霊が与えようとする霊的なものよりも、物質的なものに容易に惹かれてしまうということです。こうした問題があるため、高級霊の働きかけが善い実を結ぶことは、いっそう難しくなります。

結局、地上に近い幽界の下層では、どうしても低級霊が強い勢力を持つことになってしまいます。したがって地上の人間にとって“地縛霊”の存在は、きわめて深刻な問題となるのです。

霊界の悪の一大勢力とは?

低級霊・邪悪霊は、単なるイタズラやカラカイから、あるいはねたみや憎しみといった利己的な感情から地上人に働きかけます。幽界は、地上的な腕力や暴力がまだものを言う世界なので、ボス的な低級霊を中心とした小グループが存在するようになります。しかし低級霊はそれぞれが勝手気ままに行動するため、なかなか一致団結した組織活動ができません。“善”に対する共通の悪意や嫉妬しっとから一時的に結束することはあっても、時間とともに内部分裂を引き起こし長続きしません。

これまでキリスト教などの伝統宗教では、神に対峙たいじする悪の一大勢力・組織的な神への反対勢力があるかのように教えてきましたが、実際にはそうしたものは霊界には存在しません。「善の神」対「悪のサタン」という二大勢力間の闘争の構図は、地上の宗教がつくり出したフィクションです。聖書に描かれている堕天使サタンの話も、地上人がつくり出した物語にすぎないのです。

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