第3章 初期のスピリチュアリズムの歩み
……驚くべき心霊現象の現出と、近代心霊研究の展開
アメリカで始まった初期のスピリチュアリズムは、早くも四年後にイギリスに伝わりました。当時イギリスは産業革命を成功させ、先端科学の中心地として世界をリードする立場にあり、その時代を代表する世界一流の学者が集まっていました。近代心霊研究(初期のスピリチュアリズム)は、こうした英国を中心とする一流の科学者によって進められることになりました。そして優秀な科学者たちの研究にタイミングを合わせるかのように、欧米には研究対象となる優れた霊媒が次々と輩出することになりました。このような中で近代心霊研究は発展していきます。生まれたばかりの初期のスピリチュアリズムは、「近代心霊研究」を軸として展開していくことになりました。
心霊現象の中で、まず科学者が研究の対象としたのが「物理的心霊現象」です。これは、私たちの周りで怪奇現象とか超常現象としてよく騒がれる現象のことで、宗教では古来から“奇跡”として扱われてきたものです(*聖書の中に出てくるイエスが行った数々の奇跡が、この現象に相当します)。これらの現象は物質次元で引き起こされるため、その場に居合わせた人なら誰もが同時に見たり聞いたりすることができます。フォックス家事件で幽霊が起こしたラップ音などは、この現象と言えます。
そうした現象は現場に居合わせた者には無理なく受け入れられますが、ただ話を聞いただけの人間には、すんなりと受け入れられるものではありません。特に現代の科学思想に馴染んだ者にとっては、なおさら認められるものではありません。心霊現象は科学の枠内に収まらないし、科学をもってしては説明できないからです。心霊現象はどこまでも事実であり厳然として存在するものなのですが、自分の考える科学の常識と食い違うために頭から否定するようになるのです。物質世界の法則だけを研究対象とする現在の科学にとって、心霊現象は初めから研究対象とはなり得ないものなのです。
近代心霊研究では、さまざまな心霊現象に対して、当時の一流の科学者による厳しい検証・研究が進められました。心霊現象には、いろいろな種類があります。そうした種々の心霊現象の一つひとつに対して、徹底した検証と実験が行われました。その結果、心霊現象はあの世(霊界)にいる霊によって演出されることが明確になり、「霊魂説」が事実であることが証明されることになったのです。それと同時に、これまで宗教において特別な奇跡として取り扱われてきた心霊現象が、いくつかの条件さえ整えば、実験室の中でも再現できることが明らかにされました。
以下では、当時行われた心霊研究の中から代表的なものを見ていくことにします。
- (1)空中浮揚――霊媒ホームとクルックス博士
- (2)物体移動・物体浮揚――エクトプラズムの存在
- (3)物質化現象――幽霊現象
- (4)物品引き寄せ現象(アポーツ)
- (5)心霊治療(スピリチュアル・ヒーリング)
- (6)スピリチュアリズムにおける心霊現象の本質と意義
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