編者まえがき
誰でもよい、町の通りを歩いている人を呼び止めて、三千年前に地上で生活したことのある霊が戻ってきて、人生のあらゆる問題に答えてくれている事実を信じますかと尋ねたら、たぶんその人は一目散に逃げ出すであろう。
しかし、肉体の死が生命の終
死後にこそ実在の世界があること、そこから地上世界へ戻ってくることもできる、というのがスピリチュアリズムの基本的思想である。それを証明する証拠は十分に揃っているし、歴史をみても、それを裏づける事象は豊富である。
シルバーバーチの地上での使命は、一九八一年の七月十七日の夜、霊媒モーリス・バーバネルの他界をもって終了した。今は霊界にいる両者にとって、二人して地上にもたらした霊的真理が今なおこうして世界中で読まれ、感動を呼び、そして広まって行きつつあることを、どれほど喜んでいることであろう。
シルバーバーチは言葉の錬金術師である。世の中が日増しに暴力的傾向を強めていく現在の地上世界にあって、シルバーバーチが語るその言葉と思想は、まさしく魂のオアシスである。
さらにまた、半世紀以上にもわたってシルバーバーチが
本書に収められた質問は、例によって多彩をきわめる。シルバーバーチは火葬についてどういう見方をしているか、心霊研究についてどう考えているか、死後にも家屋や書物や食べものがあるのか、苦労は性格の発達にとってやはり必要なのか、“モーゼの十戒”は書き改める必要があるのかないのか、患者は複数の心霊治療家にお世話になってもいいのだろうか――こうした疑問について、シルバーバーチは見事な回答を与えてくれている。
シルバーバーチが返答を断ったり、戸惑ったり、答えに窮したりしたことは一度もない。いかに難解な質問をしても、適切な答えを、説得力をもって当意即妙に与えてくれる。
ジャーナリストの端くれとして私も、文章を書くということに慣れてはいるが、シルバーバーチの霊言を編集していていつも感嘆させられることは、文章を修正したり表現を改める必要がまず皆無に等しいということである。その英文の絶妙さは、まず類を見ない。
私の執務室には心霊画家マルセル・ポンサンによるシルバーバーチのカラーの
以来四十年以上にわたってバーバネル家の書斎に掛けてあったが、今ではサイキックニューズ社の編集室に掛けてある。そもそもサイキックニューズ紙はバーバネルが創刊したのであるから、ここに飾るのが、バーバネルとシルバーバーチ双方への何よりの敬意のしるしとして適切であろう。
本書に収められた叡智あふれる言葉はかなり以前のものであるが、今もってその輝きを少しも失っていない。身分の上下にかかわりなく、すべての人の魂に訴えるものを秘めている。
願わくば読者が、本書をお読みになることによってご自身の中から新たなる活力と精神力と判断力とを引き出し、さらには心の安らぎと未来への希望を見出されんことを。
トニー・オーツセン